コンサルティングファームの人事部門の役割について解説

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コンサルティングファームの人事部門の役割について解説

新卒、中途ともに人気のあるコンサルティングファームですが、多くはコンサルタント志望の方が多いのではないでしょうか。

一方でコンサルタントを志望している方の採用や研修、評価を行うのが人事部門であり、コンサルティングファームの中でも重要な役割を果たしているポジションと言えるでしょう。

今回はコンサルティングファームの人事部門の役割についてご紹介いたします。

コンサルティングファームの人事部門とは

転職市場でも非常に人気の高いコンサルティングファームですが、人事部門の実態については、あまり知られていないのが現状かもしれません。

原因として考えられるのは、コンサルティングファームにおいての人事部門はそれ自体では売上が立たない為、あくまで「コスト」部門であるという意識があり、表には出ない部門だからかもしれません。

ただ、コンサルティングファームの人事部門も、実際の役割や機能については事業会社の人事部門と大きく変わらず、経営層に近いところで重要な役割を担っています。

「コスト」でありながらも、その中でいかに効率よく合理的に機能していけるかが求められている、コンサルティングファームの人事部門。

ここでは、人事部門にはどのような役割があるのか実際に見ていきたいと思います。

人事部門とは何か

人事部門とは何か

そもそも、なぜ組織には人事部門が必要なのでしょうか。

人事の本で有名なデイビッド・ウルリッチ氏の「Human Resource Champions」(邦訳『MBAの人材戦略』)において、人事が果たすべき役割として以下4つの概念を定義しています。

戦略のパートナー(Strategic Partner)

経営戦略、事業戦略に合致するよう、人事戦略を構築すること。

管理のエキスパート(Administration Expert)

社内での人、組織における動きを管理。法的リスクを最小限に保ちつつ、業務の効率性を高めること。

従業員のチャンピオン(Employee Champion)

従業員一人ひとりのメンタルヘルスケア、ヒアリングなどによって、それぞれのモチベーション維持のサポートをすること。

変革のエージェント(Change Agent)

企業理念、バリューに合致するように、人材育成、組織の変革を促すこと。

この4つのバランスは業界や業種、また組織によって様々です。

場合によっては他企業にアウトソーシングする企業もあります。

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人事部門の役割について

人事部門の役割について

それでは、企業が上記でご紹介した4つの機能を満たすため、どのような役割に分けて業務を行なっているのか見ていきましょう。

【人事企画】経営戦略、事業戦略に沿うような人事制度の企画・立案

企業の根幹ともいえる、人事企画の社員の処遇決定の基準となる評価制度や報酬制度構築や、教育システムの構築、他役割の年度の方針を決定する役割を担っています。

企業の「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」のうち、「ヒト」を動かす根本的なシステムを作るのが、人事企画です。

【採用】事業計画に基づいて、企業が求める人物像に合致する人材を獲得する

企業の事業計画に沿って採用計画を作成し、それに沿った人材を、新卒・中途・派遣等様々な切り口から採用活動を行います。

採用の母集団形成のために自社HPやSNSを使って求人告知、説明会の実施や合同説明会への参加、採用試験や面接の実施、入社の手続きから新入社員の受け入れまで一貫して対応します。

新卒採用を行うために全国各地の大学を回ったり、経験者を採用するための説明会を定期的に開催したりしながら、ファームが求めている像と合致する点が多い候補者を獲得するのが採用担当の役割となっています。

なお、コンサルタントの採用面接に関しては希望を担当している部門のコンサルタントが行うことが多いです。

【研修、育成】社員の能力向上をサポートし、ファームに最大限に貢献してもらえるよう育成する

【研修、育成】社員の能力向上をサポートし、ファームに最大限に貢献してもらえるよう育成する

入社してもらった人材には、企業資本の「ヒト」としてファームの業績に貢献してもらえるように育成していくことが必要です。

経営層をはじめ、一般社員からも声を聞きながら、どのように進めていくことが求められているかを分析し、研修を受ける社員自身が納得するようなものを作成していきます。

業務に携わりながら必要な知識やスキルを習得するOJT、業務とは別の機会を設け、集中的に考え方や概念などを習得するOFF-JT、また最近一般的になってきている各自の好きな時間と場所で自由に学べるeラーニングなど、色々な種類の研修を組み合わせながら、いかに効率よく育成してもらえるかを考えるのが、研修・育成担当の役割です。

【労務管理】社員が働き続けるために必要な環境の整備、社員一人ひとりのケアを行う

社員一人ひとりに、モチベーションを保ち、効率よく良いパフォーマンスを持続的に発揮してもらうためには、それぞれが過ごしやすいよう安全衛生管理や社内環境を整える必要があります。

具体的には勤怠(残業時間の管理も含む)管理、福利厚生制度の管理、健康診断実施、労働組合との調整なども業務範囲になります。

また、企業によっては労務管理担当者が、社員の退職、休職の手続きなどを一緒に担当するなど、社員のケアを一連して担っているといえます。

【グローバルモビリティ】国際間人事異動に伴う手続き手配、異動対象者のケア全般

企業のグローバル化が進む中で、海外拠点からの入社や、社内の交換留学制度などを利用し、さまざまな地域から優秀な人材を確保しようという動きが高まっています。

企業側も雇用者側も入社を希望し合っているにもかかわらず、ビザ取得などの労務手続きや、慣習面で特殊な対応が必要なことから、入社までの期間が長期化したり、トラブルが起こってしまうこともあります。

そこで、給与計算や税金関係などの人事手続きにも対応でき、かつ海外経験があるなど、グローバルモビリティにおける社員のケアを対応する専門の担当者(もしくは専門の部門)を設置している企業も少なくありません。

特に給与計算や税金に関しては、専門的で高レベルな知識が必要になるため、アウトソーシングに出すコンサルティングファームも数多く存在します。

グローバルなファームの場合には、比較的安価に引き受けてくれる国で全世界のアウトソーシングを一括して任せている場合も見受けられます。

【評価】評価基準をみえる化し、一人ひとりが目指す方向性を示す

【評価】評価基準をみえる化し、一人ひとりが目指す方向性を示す

「評価」は賃金やポジション決定のためだけにあると誤解されがちです。

しかし、人事評価制度の評価項目や基準には、企業のビジョンや理念、目指す方向性、求める人物像について明確に表れています。

社員それぞれが評価項目を達成しようと動くことによって、社員全員が同じ方向に向かって、同じ目標をもって成長しようとしている大きな流れを作り、最終的には企業全体の生産性や売上の向上につながるのです。

コンサルティングファームの場合には他の業界の企業と違って、一緒にプロジェクトを担当した上司や先輩からの評価が大きな影響を与えることも見受けられます。

【給与】社員一人ひとりの賃金計算、社会保険手続きの手配

毎月変動する給与額を把握し、その給与から所得税、住民税を計算し天引きする必要があり、非常に複雑かつ正確さが求められます。

また社員一人ひとりの健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険などの社会保険に関する手続きや、ハローワーク、日本年金事務所への書類の提出なども行います。

特に社会保険関連業務については法律が関わってくるため、専門的な知識が必要となり、かなり難易度が高いものになります。

給与についても最近はアウトソーシングを行う企業が多くなってきていますが、外部との窓口として細かな手続きなどを内部の給与担当者が行っています。

コンサルタントで入社をした後に人事部門へ異動する場合も

冒頭にも記載したように、コンサルティングファームの人事部門は本質的な機能や役割については事業会社の人事部門と大きな相違はありません。

ここでご紹介したそれぞれの役割は、一見全く異なる性質を持っている仕事のようですが、すべてに共通するのは、「資本であるヒトを、いかに合理的かつ効率的に動いてもらえるようにできるか」という点です。

それぞれの役割は、役職でも担当する業務はさまざまであり、同じ業界でもファームによって全く異なる場合もあります。

人事部門はそれぞれの役割における専門性が高い故、他の分野から未経験での転職は少し狭き門ではありますが、組織を運営するためには欠かせない部門であり、転職市場でも実は人気な分野でもあります。

ファームの中にはコンサルタントで入社をした後に人事部門へ異動する場合もあるため、興味関心がある方はどのような業務を行っているのかを把握しておきましょう。

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証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2016年10月より独立。2017年7月合同会社Milkyways設立、代表社員CEO。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻(WBS)修士課程卒。専攻はベンチャー企業論、ベンチャー経営論。趣味はサルサとラーメン。