会社を設立する際にオフィスを借りて登記をしようと考えている方も多いと思いますが、最近ではコワーキングスペースで登記をすることも増えてきました。
今回はコワーキングスペースで起業、登記する場合のメリットとデメリットについてご紹介いたします。
目次
コワーキングスペースとは
コワーキング(Coworking)とは事務所スペース、会議室、打ち合わせスペースなどを複数の人や会社と共有しながら仕事を行うワークスタイルのことです。
コワーキングは、2005年頃にサンフランシスコを中心に始まったとされ、日本では2010年頃からコワーキングの概念が広まっていきました。
コワーキングスペースはこのような働き方を提供している場所のことで、一般的な事務所を借りるより敷金礼金などの初期費用や月額費用が安いためコストが抑えられ、スピーディーに会社の住所を取得できることから、起業後の会社や個人事業主にも人気です。
コワーキングスペースとシェアオフィスの違い
コワーキングスペースと似ているのがシェアオフィスです。
コワーキングスペースとシェアオフィスについては明確な定義はなく、運営会社によりとらえ方は異なります。
コワーキングスペースはオープンスペースの共有となっているのが多いですが、シェアオフィスにはオープンスペースも個室もある場合が多く、シェアオフィスの個室をレンタルオフィスとして利用するケースもあります。
コワーキングスペースのメリット
コワーキングスペースのメリットについて見ていきましょう。
法人登記ができる
バーチャルオフィスの一番のメリットは法人登記ができるというところでしょう。
自宅を会社の住所として登記できる場合もありますが登記が不可の物件や、登記する場合には事務所としての契約が必要で敷金を増やしたり消費税がかかってしまう場合もあります。
また、ビルのエントランスにある案内板や、オフィスがあるフロアのエレベーター横などに、社名や屋号を記載してくれるサービスもありますので、必要な場合には調べてみても良いでしょう。
コストを抑えられる
通常のオフィスやレンタルオフィスの場合には敷金が発生することが多く、月額費用も比較的高額な場合が多いです。
コワーキングスペースであれば月々数千円から利用できます。
会社設立間際や個人事業主として自宅とは違う場所で登記をしたい場合にはコワーキングスペースの活用もおすすめです。
会議室をレンタルできる
コワーキングスペースにもよりますが、多くの場合会議室をレンタル利用できる点もメリットです。
会議室をレンタルする場合には他の方が利用していないかネットで確認できるコワーキングスペースも多いので、わざわざオフィスに行かなくても予約が可能なケースもあります。
新たなビジネスチャンスを作ることができる
1人や少人数でリモートワークを続けていると、他業種や他業界の人たちだけでなく、同業の人たちとの交流の機会も少なくなってしまうことも多いのではないでしょうか。
新しい情報をキャッチアップしたり、新たなビジネスチャンスを作ったりすることが、なかなかできません。
コワーキングスペースでは交流を促進するために室内のレイアウトが設計されていたり、交流イベントが行われることもありますので、普段接点のない方と知り合うチャンスにもなるでしょう。
都心一等地の住所が得られる
コワーキングスペースの多くは、都心の一等地や有名な高層オフィスビルの中にあります。
例えば渋谷や六本木、銀座などアクセスも良くて知名度も高いエリアと言えるでしょう。
起業してすぐに事務所を設立する場合には資金面や信用力的には難しい場所です。
しかし、コワーキングスペースであれば、気軽に都心一等地にオフィスを構えることができます。
コワーキングスペースの住所をホームページや名刺に記載できるメリットがあります。
郵便物の受取り・転送ができる
コワーキングスペースが提供するサービスとして郵便物の受け取りと転送があります。
コワーキングスペースのスタッフが郵便物の受け取り・仕分け・転送処理を代行してくれますので、登録住所に荷物を取りに行ったり、自宅を転送場所としておけばわざわざオフィスに行かなくても荷物が受け取れます。
電話受付や転送をしてくれる
近年では起業したての場合固定電話を持たないケースが増えていますが、固定電話の番号があることが金融機関や取引先からの信頼性を証明する場合もあります。
コワーキングスペースではお客様からかかってきた電話を指定した携帯電話などに転送してもらうこともできます。
また、電話の受付サービスや秘書サービスを提供しているコワーキングスペースでは電話対応の依頼も可能です。
個人の携帯を利用していると営業の電話がかかってくることも多いので、電話受付をしてもらって対応しておくメリットも考えられるでしょう。
電話受付や転送サービスがないコワーキングスペースの場合、ネットバンキングでは残念ながら楽天銀行と住信SBIネット銀行は固定電話以外の申し込み入力ができませんので、携帯電話でも口座開設のお申込みが可能なGMOあおぞらネット銀行かジャパンネット銀行でお申込みするのがおすすめです。
取引先や金融機関からの一定の信頼性
コワーキングスペースは自宅を住所としている場合よりも、都心一等地の住所を使うことができるため、信用度が高まる傾向があります。
ただし、調べるとコワーキングスペースとすぐにわかるため通常の事務所と比べると信頼性が劣っていると思われがちです。
コワーキングスペースを活用した時のデメリット
続いてコワーキングスペースのデメリットについて見ていきましょう。
事務所住所として登録できない業種がある
実体のあるオフィスが必要な業種や、独立した事務所が必要な一部業種では、コワーキングスペースを利用することができません。
例えば下記のような職種が、コワーキングスペースには不向きです。
有料職業紹介、人材派遣
厚生労働大臣の許認可を申請する際、求職者と面談を行う一定以上の広さがある個室を設置しなければならず、実体のある事業所が必要となります。
事務所契約や自分の持ち物件の場合であれば、部屋の作りによって自宅でも申請が可能な場合もあります。
不動産業
宅建業免許を取得するための要件として、事務所としての機能を備えた個別スペースが必要となります。
弁護士、税理士、司法書士などの士業
弁護士なら弁護士会、税理士なら税理士会などに登録する際に、実体のある事務所が必要になります。
個人情報を扱う業務の性質上、独立した執務スペースを確保できることも重要でしょう。
建設業
請負契約の見積もり、入札、契約締結などを行う場合、実体を伴う事務所がなければ許認可を受けることができません。
探偵業
探偵業届出証明書の取得にあたって、実体のある事務所がないと許可が下りません。
古物商
古物商許可を受けるには、商品や在庫を置いて取引できる事務所が必要となります。
他社との住所の重複が起こる
コワーキングスペースで利用できる住所は、複数の会社で共有されています。
そのため、人気のあるコワーキングスペースを利用していると、他社と住所が重複します。
インターネットで住所を検索した際に、他社のホームページが上位に表示される場合もあり、会社の信頼を低下させてしまう可能性もあります。
コワーキングスペースについてよくある質問
コワーキングスペースについてよくある質問について見ていきましょう。
銀行の法人口座は開設できる?
銀行で法人口座を開設する場合は、各銀行で口座開設に関する条件や審査内容が異なりますが、バーチャルオフィスでも開設は可能です。
ただし、コワーキングスペースでの登記の場合には審査上不利となる可能性があります。
銀行の法人口座開設は年々審査が厳しくなっているのが実情です。
そのため、法人口座を開設するためには銀行口座開設の目的と事前準備をしっかりと確認しておき、戦略的に行うことがおすすめです。
実際に私が法人口座を開設した経験を踏まえて参考になりそうな記事をまとめてみましたので、ご関心ありましたら参照いただければと思います。
社会保険や雇用保険の加入申請はできる?
日本では、起業する場合には社会保険への加入が義務付けられており、コワーキングスペースで起業しても、社会保険や雇用保険の加入が必要です。
法人税・所得税・住民税の納税地はどこ?
コワーキングスペースを利用している場合、法人税と所得税はバーチャルオフィスの住所を管轄する税務署、住民税は居住地の税務署で納税が必要です。
登記をする際にもコワーキングスペースのあるエリアの法務局へ申請が必要です。
コワーキングスペースの利用料は経費にできる?
コワーキングスペースの利用料は経費に計上できます。
建物費や賃借料という勘定科目で計上しましょう。
住所でネット検索をされたら困らない?
コワーキングスペースは複数の会社で共有しているため、ネット検索をすると他社の情報が出ることも多いです。
また、調べるとコワーキングスペースを利用していることがすぐにわかるでしょう。
コワーキングスペースとわかっても特に問題がなければ困ることは少ないのではないでしょうか。
起業や個人事業主の最初の一歩としておすすめ
コワーキングスペースを利用すれば、自宅の住所を登記する必要はなく、電話番号やFAX番号も借りることができ、プライバシー保護の観点からも安心して利用できます。
また、初期費用や月額利用料も、賃貸事務所やレンタルオフィスに比べて安いとあって、できるだけ支出を抑えたいスタートアップの起業家にも人気です。
起業からしばらくはコワーキングスペースを活用して、事業が軌道にのったら賃貸事務所への移転を検討するという方にもおすすめと言えるでしょう。
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