最近のベンチャーキャピタルと言えば、事業会社系のベンチャーキャピタル (CVC)や 独立系 の ベンチャーキャピタル によるファンド組成額もどんどんと大きくなっていますが、引き続き金融系のベンチャーキャピタルも存在感を保っています。
金融系のベンチャーキャピタルは古くからの歴史がある企業も多く、業界を牽引してきたのが金融系のベンチャーキャピタルと言えるかもしれません。
日本の金融系ベンチャーキャピタル(VC)一覧についてまとめてみました。
目次
日本の 金融系 ベンチャーキャピタル / VC について
金融系 ベンチャーキャピタル の特徴としては、
1、 金融関連以外の投資先の場合、事業シナジーが無いので純投資が目的
2、 アーリーステージよりもIPOに近くなってきたフェーズでの投資が多い
3、 特定の業種ではなく、幅広い業種に投資を行う場合が多い
などが挙げられるでしょうか。
銀行系、証券系、保険系、その他金融系に分けて、金融系の代表的なベンチャーキャピタルの特徴をご紹介させていただきますのでご覧下さい。
なお、ご紹介する順番に関しては順不同となっております。
銀行系ベンチャーキャピタル
多くの銀行でベンチャーキャピタルや投資部門を持っている場合が多いため、代表的な3社をご紹介させていただきます。
大抵は投資先のメインバンク系列の銀行系ベンチャーキャピタルが絡んでいるケースが多く、メインバンク以外の銀行系ベンチャーキャピタルだけが投資を行なっているというケースはほとんどないと言えるでしょう。
銀行系ベンチャーキャピタルは銀行を含めたグループ各社との連携や、幅広い顧客接点を強みとしています。
三菱UFJキャピタル
三菱UFJキャピタル は三菱UFJグループのベンチャーキャピタルです。
1974年に創設の歴史あるベンチャーキャピタルで、グループ企業が提供する金融ソリューションによるサポートを一つの強みとしています。
国内だけではなく、海外への投資も一部行っており、業種としてはライフサイエンスや製造業に強く、ステージはアーリーからミドル期が中心です。
最近では、グループとしてのアクセラレーションプログラムの支援も行なっており、シードステージのベンチャー支援にも力を入れてきています。
投資先には エアウィーブ 、 ビットフライヤー 、 コイニー などがあります。
URL : 三菱UFJキャピタル
投資先 : 三菱UFJキャピタル ポートフォリオ
SMBCベンチャーキャピタル
SMBCベンチャーキャピタル は三井住友ファイナンシャルグループのベンチャーキャピタルで、これまで、エヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ、大和SMBCキャピタルと形を変えてきましたが、2012年以降は現在のSMBCベンチャーキャピタルとなっています。
投資対象はアーリーからミドルを中心としつつも幅広いステージのベンチャーに投資をしており、業界でみるとIT、サービス業が多くなっています。
上場した投資先には オイシックス 、 シャノン 、 ユーザベース などがあります。
URL : SMBCベンチャーキャピタル
投資先 : SMBCベンチャーキャピタル 投資先
みずほキャピタル
みずほキャピタル はみずほファイナンシャルグループのベンチャーキャピタルで、三菱UFJキャピタルと同様1974年に創設された歴史のあるベンチャーキャピタルです。
みずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券といったグループ各社との各ステージにおける連携を強みとしています。
投資対象のほとんどは国内企業で、ステージはアーリーステージ以降が中心、業種としてはIT系の投資実績を多く持っています。
上場した投資先には マネーフォワード 、 ロコンド 、 ネットマーケティング などがあります。
URL : みずほキャピタル
証券系ベンチャーキャピタル
証券系ベンチャーキャピタルは系列企業が投資先の主幹事証券となる場合も多く、IPOに深く関わってくるベンチャーキャピタルと言えるでしょう。
ジャフコ ( JAFCO )
JAFCO は1973年に創設された日本で最も歴史のあるベンチャーキャピタルです。金融系ベンチャーキャピタルの中では珍しく、上場もしています。
元々は野村證券グループのベンチャーキャピタルであったため、ここでは証券系に分類をしていますが、2017年に野村HDおよび野村総研がJAFCOの株を売却したことにより、現在では独立系ベンチャーキャピタルとなっています。
日本はもちろん、アメリカ、アジア各国で広く投資を展開しており、2017年時点で累計投資社数は3,900社にものぼります。
JAFCOは投資先の企業と他の企業をマッチングさせる部門もあり、事業の成長にも貢献してくれそうなベンチャーキャピタルと言えるでしょう。
上場した投資先では リクルートホールディングス 、 グノシー 、 UUUM などがあります。
大和企業投資
大和企業投資 は大和証券グループのベンチャーキャピタルです。
こちらも日本だけではなく、アジアを中心に海外での投資を積極的に行っており、台湾、ベトナムにも拠点を構えています。
業界で見るとITに加え、ライフサイエンス関連の投資も大きいのが特徴です。
上場した投資先では JMC 、 バリューデザイン 、 グリーンペプタイド などがあります。
URL : 大和企業投資
投資先 : 大和企業投資 国内投資先IPO企業一覧
ネオステラ・キャピタル
ネオステラ・キャピタル はみずほ証券(50%)、第一生命(40%)、アセマネOne(10%)の3社合弁のベンチャーキャピタルです。
元々は1982年に新日本ファイナンス、和光ファイナンスなどバラバラに設立された会社でしたが、2008年2月キュービック・ベンチャーキャピタルと新光インベストメントの一部事業を統合し、ネオステラ・キャピタルとなりました。150社以上のIPO実績があることが特徴です。
上場した投資先では ロコンド 、 フェニックスバイオ 、 オープンドア などがあります。
追記:2019年1月14日
ネオステラ・キャピタルのサイトが無くなったようで一旦非公開にしております。また見つかりましたら追記予定です。
保険系ベンチャーキャピタル
保険系ベンチャーキャピタルも歴史と実績がある企業が多く、元々は保険料の運用の一環として投資を行なってきたものと考えられます。
生命保険系と損害保険系ベンチャーキャピタルがありますが、両方について見ていきましょう。
ニッセイ・キャピタル
ニッセイ・キャピタル は日本生命の子会社のベンチャーキャピタルで、100億円規模のファンドを複数運用し、広範囲の投資を行っています。
投資先は、シードからレイターまで幅広く、最近では総額5,000万円のシード出資を行うアクセラレーションプログラムも開始し、シード期のスタートアップの支援を積極的に行っています。
上場した投資先では うるる 、 ショーケース・ティービー 、 ヨシムラ・フード・ホールディングス などがあります。
URL : ニッセイ・キャピタル
投資先 : ニッセイ・キャピタル 投資先
三生キャピタル
三生キャピタル は平成3年3月に設立された三井生命グループのベンチャーキャピタルです。
設立以来の投資先は400社を超え、100社以上の株式上場の実績があります。三井系、そして、生命保険会社系のベンチャーキャピタルとして、株式上場を目指す投資先の皆様の成長を支援するBESTパートナーであることを目標として掲げています。
日本生命保険と三井生命保険の経営統合により、更に大きなネットワークのもとで活動しております。
上場した投資先では ソレイジア・ファーマ 、 メタップス 、 フルッタフルッタ などがあります。
URL : 三生キャピタル
投資先 : 三生キャピタル 投資先
ティーキャピタルパートナーズ
ティーキャピタルパートナーズは東京海上HDのグループ会社です。
2019年10月に東京海上キャピタルより社名を変更してティーキャピタルパートナーズになりました。
特徴としては国内のバイアウト投資の先駆者として1998年からバイアウト投資を開始し、多様なバイアウトへの投資を行ってきました。
大企業グループの企業再編にかかわるMBO(マネジメントバイアウト)や、オーナー企業の事業承継にかかわるバイアウト、企業再生にかかわるバイアウトを主な投資対象として投資活動を行っています。
投資対象は「原則として国内に所在又は国内に主な事業基盤を有し、安定したキャッシュフローが見込まれる企業のバイアウト投資」、「業種は特定しない」、「対象企業の企業価値は50~500億円(原則)」、「1件あたりの投資額は30~100億円(原則)」を掲げているようです。
上場した投資先では MS&Consulting などがあります。
URL : ティーキャピタルパートナーズ
投資先 : ティーキャピタルパートナーズ 投資先
三井住友海上キャピタル
三井住友海上キャピタル は三井住友海上の100%子会社のベンチャーキャピタルです。
投資対象はシードからレイターステージまで幅広いですが、金額ベースで約半数近くがシード・アーリーステージでの出資となっています。
上場した投資先では シェアリングテクノロジー 、 リファインバース 、 PCIホールディングス などがあります。
URL : 三井住友海上キャピタル
投資先 : 三井住友海上キャピタル 投資先
安田企業投資
JAFCOと並んで日本で最も歴史のあるベンチャーキャピタルであったNED(日本エンタープライズ・デベロップメント)の親会社の経営破綻に伴い、そのアセットを継承したのが 安田企業投資 です。
現在は損害保険ジャパン日本興亜と明治安田生命保険が50%ずつの株式を保有しています。
上場した投資先では アセンテック 、 グリーンペプタイド 、 日本動物高度医療センター などがあります。
追記:2019年1月14日
安田企業投資のサイトが無くなったようで一旦非公開にしております。また見つかりましたら追記予定です。
その他金融系ベンチャーキャピタル
上記には属さない金融系ベンチャーキャピタルもあり、特に業界内でも大きい2社をご紹介させていただきます。
SBIインベストメント
SBIインベストメント はSBIグループのベンチャーキャピタルで、これまでに設定したファンド総額は約4,000億円以上にものぼります。
インターネット黎明期から日米のIT系ベンチャーへの投資を行っていますが、その後も成長産業への投資を続け、最近はFintech、ライフサイエンス、アジアといった領域にも力を注いでいます。
上場した投資先では クロスフォー 、 グレイステクノロジー 、 リネットジャパングループ などがあります。
URL : SBIインベストメント
投資先 : SBIインベストメント 投資先
オリックス・キャピタル
オリックス・キャピタル はオリックスの子会社にあたるベンチャーキャピタルです。
広範囲の事業領域で投資を行っており、これまでの投資実績は1,700社以上、株式公開は280社以上にのぼっています。
上場した投資先では キャピタル・アセット・プランニング 、 エディア 、 ヒロセ通商 などがあります。
URL : オリックス・キャピタル
投資先 : オリックス・キャピタル 投資先
資金調達、増資の検討時には税理士を見直す必要も
資金調達、増資を検討する際には事業を拡大するフェーズに入っている場合が多いですが、その際に税理士を見直した方が良い場合もあるかもしれません。
例えば知り合いから紹介された税理士さんに昔からお願いしているものの、会社の規模が大きくなってきて得意範囲を超えてしまう場合、仕訳や決算については詳しくてもファイナンスの相談は出来ないといったことも見受けられます。
その場合には知り合いからの紹介や監査法人への相談も効果的ですが、たくさんの税理士が登録してある税理士ドットコムに登録して無料相談してみるのもおすすめです。
自社に合いそうな税理士の方を比較検討出来るメリットがあります。
投資先の検討にはどこの金融系列と取引を行なっていくかを考えよう
金融系のベンチャーキャピタルはバックグラウンドの金融機関に支えられた資金調達力や幅広い金融ソリューション、広範な企業とのつながり、そして長年の歴史で培われた投資ノウハウが大きな強みと言えます。
また、ベンチャー企業としては、金融グループから出資を受けることによる社会的信用力の向上も次のステージへ進むための大きなメリットと考えられるのではないでしょうか。
金融系のベンチャーキャピタル投資を受ける際には、今後会社としてどこの金融系列を中心に取引を行なっていくかを考えた上で、話を進めていきましょう。
事業シナジーを出していきたいのであれば、事業会社系ベンチャーキャピタルや独立系ベンチャーキャピタルも視野に入れて考えていくことがおすすめです。
こちらのブログや会社のお問い合わせフォームなどからアクセラレーターやインキュベーターもしくは他のVCの話を聞いてみたいといったご連絡やご相談をいただくことも増えてきましたので、もしご興味あればお声掛けいただけましたら出来る範囲内でご対応させていただきます。
ただ、会社の事業やフェーズなどによって必ずご紹介出来るかどうかの保証はできないのと、お互いのデューデリジェンスの金額が合わなくてマッチしないケースも多いですので、予めご了承いただけますと幸いです。
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