メールアドレス 宛ではなく、携帯電話 の番号に対して送ることのできる SMS ( ショートメッセージ )。普段から頻繁に利用するわけでないものの、たまにSMSの受信をすることがある方もいるでしょう。
SMS自体 は昔からありますが、 実は最近 市場が拡大中 であることはご存知でしょうか。 本記事では 拡大中の SMS の市場規模 / 市場動向 についてご紹介させていただきます。
目次
SMS とは
SMSとは 携帯電話番号 に対する メッセージサービス のことです。
1984年に マッティ・マッコネン さんというフィンランドの方が、 携帯電話 のサービスとして開発した技術です。
フィンランド は元世界最大の携帯会社 ノキア もありますので、先進的なのかもしれません。
日本でSMSが始まったのは今から20年以上前の1996年4月、 旧DDIセルラー ( 現在のKDDI )が PHS で行いました。翌年の1997年6月には ドコモmova で携帯電話 のSMSがスタート。
元々は同じ 携帯会社同士 でないとSMSを送れませんでしたが、2011年より 3大キャリア同士 でSMSのやり取りが可能になりました。
SMSで送信できる文字数は 各キャリア によっても異なりますが、各キャリア間で相互に送受信できるのは全角 70文字 ( 半角英数字 160文字 )と上限が決まっています。
メール配信と似ている部分もあるのですが、 NTTドコモ 、 KDDI 、 ソフトバンク といった 各キャリア の仕様に合わせることが必要で、 サーバ からメッセージの一斉送信も可能なサービスです。
法人で利用する場合には、自前で サーバ をたてて配信するよりも SMS配信事業 を行なっている会社の プラットフォーム を利用して送ることが多くなっています。
携帯電話会社 や SMS配信数 によって異なるものの、1通あたりの配信には 数円から数十円程度 の費用がかかることが一般的な金額です。
SMSの 利用用途 と特徴
SMSはどのような利用用途が多いのでしょうか。
主な利用用途としては、
- 新しいサービス やSNSの利用時など 本人認証通知
- 督促などの通知
- プロモーション
などが挙げられます。
最近では 格安スマホ が増えていることもあり、 キャリアアドレス を持たないユーザーが多くなっていることからもSMSに注目が集まっています。
メールと比べると 到達率 が高いことも特徴として挙げられるでしょう。中には SMS開封率 が 90% を超えるというデータも発表されています。
最近ではSMSと マーケティングオートメーション (MA)を組み合わせた One to One での プロモーション利用 も徐々に見受けられるようになっているようです。
参考:セラン SMSの市場動向とマーケティングオートメーション(MA)での活用方法とは
郵便料金 や 電話をかける料金 と比べるとSMSで配信を行った方が コストメリット が出やすい場合も考えられるでしょう。
ただし、 メール配信 と比べると文字数に制限があること、 絵文字が使えない端末があること 、 単価が比較的高くなる といったデメリットも挙げられます。
SMSの 市場規模 / 市場動向 とは
SMSの日本国内における 市場規模 や 市場動向 はどのようになっているのでしょうか。
個人間でのSMSは「 P2P (Person to Person)-SMS 」と呼ばれており、法人から個人に送るSMSのことは「 A2P (Aplication to Person)-SMS 」と呼ばれています。
ミック経済研究所 では以下のようなグラフの 調査結果 を発表しています。
調査内容
- 調査は法人から個人に送る A2P-SMS を対象。
- NTTドコモ 、 KDDI 、 ソフトバンク と直接接続をしている直収分の配信数を対象。
- 日本から 国内キャリア を通して海外に送信する分は調査対象に含む。
画像引用 : 日本経済新聞 ミック経済研究所、「爆発的な拡大が予測されるA2P-SMS市場」を発表 関連資料
法人から個人に送る A2P-SMS の配信数は拡大しており、今後もビジネス向け 通信インフラ として定着する予想が出ています。
2017年度の配信数は 4億670万通 、法人顧客数は 4,540 と予想。 2021年には配信数が 6倍超 の 26億8,800万通 、顧客数が 4倍超 の 20,680 法人まで増えるようです。
参考:日本経済新聞 ミック経済研究所、「爆発的な拡大が予測されるA2P-SMS市場」を発表
市場規模 のデータが見当たらなかったのですが、SMSは メール配信 と比べて キャリア への 支払い原価 が高いことから ボリュームディスカウント が効きにくいことが知られています。
そのため、1通あたり 数円 はかかることを想定すると、 日本国内 での SMS市場規模 も右肩上がりに増加していくことが予想されるのではないでしょうか。
一方で 総務省 によると、世界的にはSMSの市場規模は縮小しているという結果が発表されており、国によってはSMSの代わりに メッセンジャーアプリ の利用が増えてきているとのことです。
画像引用 : 総務省 平成27年版 情報通信白書
SMSの主要配信事業者とは
現在の A2P-SMS配信事業者 は5社でほぼ寡占状況となっており、 アクリート 、 NTTコムオンラインマーケティングソリューション 、 AOSモバイル 、 メディア4u 、ユミルリンクで占められています。
アクリート
アクリートは、日本で唯一NTTドコモ、au、SoftBank直収のSMS配信専業社で、SMS配信プラットフォーム事業を推進しています。
過去数年間のサービス稼働率は100%となっているようで、高い信頼性のあるサービスと言えるでしょう。
NTTコムオンラインマーケティングソリューション
NTTコムオンラインマーケティングソリューションが提供しているSMSは空電プッシュです。
特徴としては、ドコモが660文字、auが140バイト、ソフトバンクが333文字までSMSでも送信可能なところです。
また、メッセージ本文に含まれるURLを短縮し、SMS開封状況も確認できるようで、効果測定も行えます。
AI CROSS (旧AOSモバイル)
AI CROSS は日本で初めて、顧客と企業の双方向でのやり取りができる送受信SMSを提供しており、特許も取得済みです。
元々はAOSモバイルという社名でしたが、社名変更と合わせてサービス名もAIX Message SMSに変更になったようです。
メディア4u
メディア4uが提供しているMedia SMSは「双方向SMSサービス」、「長文化SMS」のアドオンサービスも実装しており、どちらの機能もAPIで提供しています。
ドコモが660文字、ソフトバンクが333文字までに加えて、今後auでも660文字に対応予定です。
ユミルリンク
ユミルリンクが提供しているCuenote SMSは比較的最近サービスをリリースしたということもあり、最大660文字までの長文SMSやAPI機能も提供しております。
元々メール配信システムを提供しているため、配信技術やインフラ構成などに強みを持っていると考えられます。値段も比較的お手頃なようです。
SMSの 配信事業は ベンチャー企業 が参入するには不向きの市場
市場規模 の増加が予想されるSMSですので、 SMS配信事業 に参入する企業にもビジネスチャンスが多いでしょう。
SMS事業を新規に始める際のポイント
- NTTドコモ 、 KDDI 、 ソフトバンク の各キャリアに合わせたSMS配信における仕様づくりが必要
- 各キャリア の技術的 なやり取りは新しい会社に対してさほど積極的ではない ( 問い合わせをした会社の方に聞きました )
- 各キャリア に最低限の支払いが発生するため、ある程度の 顧客数 を獲得しないと赤字が続く
- 既存事業者でも 配信到達率 99%以上 の会社が多く、 コスト勝負 になる可能性が高い
といったことが挙げられます。
上記の理由から 個人的 には SMSの配信事業 に参入するのは ベンチャー企業 にとっては不向きであると感じています。
既に メール配信 を行っている事業者にとっては 既存顧客 への アップセル にもつながりやすく、 シナジー が見込めるのではないでしょうか。
もし ベンチャー企業 に勝ち目があるとすれば、 独自の技術 や クリエティブ要素 が使えることなどが考えられますが、現在の仕様では難しいかもしれません。
SMSの 配信 は地味だがドル箱事業
今後配信数の増加が見込まれている SMS市場 において、参入する企業も増加する可能性がありますが、既存の事業者にとっては SMSの配信 は地味だがドル箱事業になるでしょう。
SMS業界の動きがある可能性としては、 楽天モバイル が 3大キャリア と肩を並べることにより、独自の仕様を元にしたSMSを提供することも考えられますが可能性はかなり低いと見ています。
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