「東スポ餃子」の狙いとマーケティング戦略について解説

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「東スポ餃子」の狙いとマーケティング戦略について解説

ネットやTVなどでも話題になっていると噂の「東スポ餃子」についてご存知でしょうか。

通販での購入だけではなく、関東圏から販売区域を拡大しており、現在、取り扱いは全国で100店舗を超えているようです。

今回は東スポ餃子の狙いとマーケティング戦略についてご紹介いたします。

東スポについて

東スポとは東京スポーツ新聞社が発行している夕刊スポーツ新聞です。

明治時代からの老舗新聞であるやまと新聞の流れを汲んでいます。

同紙最後のオーナーで暴力団からプロレス界まで幅広く顔が利いた右翼の児玉誉士夫さんがそのままオーナーとなり、現在は児玉さんの側近であった太刀川恒夫さんが発行元の会長を務めているようです。

東スポは創刊当時からプロレスを大きく扱っており、他に競馬や性風俗、芸能関係の記事がメインとなっています。

駅の売店などで販売していることが多く、電車の中で読んでいる方を見たことがある人も多いのではないでしょうか。

全盛期に当たる1990年代には業績が好調で、ゴルフ場の買収やマンションへの投資にも手を広げていたほか、全社員に対して年に4回ボーナスを支給。

2019年の5月決算では、純利益で約20億円の赤字を計上したことや、総資産の簿価が約65億円程度にとどまることを公表。

2020年にはデジタル事業部門の売上が前年から3倍以上増えたものの、メインである紙媒体は新型コロナウイルスへの感染拡大の影響で売上部数が大幅に落ち込んでいるようです。

2021年には全社員約350名の3分の1程度にあたる100名の人員を削減することを計画しており、希望退職者を募集していました。

参考:東スポweb

東スポ餃子について

東スポ餃子について

「東スポ餃子」は東スポがプロデュースした餃子の冷凍食品で、正式名称は「東スポ ニンニクマシマシ餃子」です。

栃木県宇都宮市にある大和フーズ社が製造しています。

新聞社と餃子の意外なコラボレーションが話題を呼んでいますが、ニンニクが通常の3倍入っているため「一度食べると虜になる」と人気が出ています。

ニンニクの匂いを気にする方も多いと思いますが、近頃はマスクが常習化していることやリモートワークの影響もあってか、免疫力を高めるためにもあまり気にしないという方も増えているようでした。

東スポ餃子は「コロナ渦で打撃を受けた日本の飲食業界を応援したい」との熱意から企画され、食材はすべて国産にこだわってつくられているようです。

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東スポ餃子の狙いについて

上述のように「コロナ渦で打撃を受けた日本の飲食業界を応援したい」という思いが狙いにあたるところではあると思いますが、実際には東京スポーツ新聞社としても新しい売上を見込んでいると考えられるのではないでしょうか。

駅の売店などが販路のメインである東スポにとって、新型コロナの影響で外出を控えている方や出社が減っている方が増えると売り上げにも大きな影響が出ていることは間違いありません。

定期購読も月3,600円(税込)であるようですが、一般新聞と比べると定期購読者が非常に少ないはずです。

2019年の赤字決算から見ても紙面の東スポ以外に、餃子の売上は今後新規事業として期待がかかっていると見られます。

今のところは年商1億円を目指しているようで紙面の売り上げと比べるとまだまだですが、いずれは他の商品や業態ともコラボレーションを行う可能性も考えられるでしょう。

東スポ餃子のマーケティング戦略について

東スポ餃子のマーケティング戦略について

東スポ餃子のマーケティング戦略の中で注目したいのがターゲティングです。

ターゲティングとはどんなユーザーに買ってもらいたいかを見定めてから、自社の商品やサービスの特徴をポジショニングしていく戦略のことになります。

餃子は子供から大人まで好きな人が多い食品になりますが、東スポ餃子はニンニクマシマシという二郎系の名称やニンニクが通常の3倍入っていることからパンチの効いた餃子を好みそうな方がターゲットとなるでしょう。

二郎系ラーメンを食べたことがある方ならお分かりになると思いますが、具体的にはコッテリ系やガッツリ系を好む30代〜50代くらいの男性をメインターゲットにしている可能性が高いと予想いたします。

この年齢層はまさに東スポの紙面を購入しているメインターゲット層であり、自社のターゲットと同じ層を狙える事もあってパンチの効いた餃子に目をつけたのではないでしょうか。

例えば東京スポーツ新聞社が仮に女性化粧品を新しく販売するというよりは、東スポに東スポ餃子の記事や広告を入れる事でターゲット層が重なっている方がマーケティング的にも効果が発揮しやすいことが伺えます。

最近餃子の自動販売機や無人販売が増えており東スポ餃子も始めたようですが、値段(Price)や販売チャネル(Product)などについては他の餃子のマーケティングとは大きく変わらないように感じています。

新規事業を行う際にはシナジーにも着目をしよう

東スポ餃子をきっかけに東スポのことを知って紙面を買ったり、web版を見る可能性もあることからターゲットユーザー層を重ねておくことは良い戦略の一つと言えると思います。

今回はターゲットユーザー層が重なるというシナジー効果が期待できますが、その他にも既存技術を他の商品やサービスに転換して違うマーケットに挑戦する事もよく見受けられます。

新規事業を行う際には既存事業とのシナジーにも着目をして考えてみるのも良いのではないでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2016年10月より独立。2017年7月株式会社Milkyways設立、代表取締役CEO。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻(WBS)修士課程卒。専攻はベンチャー企業論、ベンチャー経営論。趣味はダンスとラーメン。