有料動画配信 市場成長と レンタル市場 衰退 、 TSUTAYA(ツタヤ)の格安スマホ トーンモバイル の苦境

TSUTAYA(ツタヤ)の格安スマホ トーンモバイル から見る 有料動画配信 市場成長と レンタル市場 衰退

TSUTAYA ( ツタヤ ) と言えば、CDやDVDのレンタルというイメージが強いと思いますが、最近では 蔦屋書店 、 蔦屋家電 のようにサービスを広げています。

さらに店頭では格安スマホ 「 トーンモバイル 」 の販売・入会も行なっており、初めて見た際にはなぜ TSUTAYA が 格安スマホ に参入したのだろうかと疑問に思いました。

よく考えてみると、 TSUTAYA が 格安スマホ をやる意味も見えてきたのですが、そこには「 有料動画配信 の 市場成長 」と「 レンタル市場 の 衰退 」が無関係ではありません。

有料動画配信 市場成長 と レンタル市場 衰退 、 TSUTAYA(ツタヤ)の格安スマホ トーンモバイル の苦境についてご紹介します。

有料動画配信 は 市場規模 拡大中

「 dTV 」、「 Hulu 」、「 TSUTAYA TV 」 などオンライン 有料動画配信 の 市場規模 拡大 が続いています。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング によると2015年の 有料動画配信市場 は 1,397億円に。

有料動画配信-市場規模成長

参考 : 三菱UFJリサーチ&コンサルティング オンライン動画配信サービスの動向整理

また、 GEM Partners によると、2021年までの動画配信市場の規模を試算した結果、2016年から2021年にかけて年平均7.7%で成長し、2021年には2,369億円まで拡大するという予測も発表されています。

そのうち、「定額制動画配信(SVOD)」は市場全体の76.8%を占め、「レンタル型動画配信(TVOD)」のシェアは12.6%、「買い切り型動画配信(EST)」は10.6%と、見放題である定額制が大多数を占めている結果となりました。

参考 : GEM Partners 動画配信(VOD)市場に関する調査結果

有料動画配信サービスの中で最も注目されるのは「Amazonプライム・ビデオ」でしょう。

他社が動画配信サービスだけで課金を行なっているのに対して、Amazonプライム・ビデオはAmazonプライムに入会することで、付属したサービスの一環として対抗しています。

動画配信サービス同士での戦いであれば動画コンテンツや費用、UIなどで勝負できるものの、1社だけ戦いの土俵を変えてきているので、競合他社にとっては厄介なライバルと言わざるを得ません。

「DAZN (ダ・ゾーン)」のようなコンテンツジャンルを絞ったカテゴリーキラーも登場してきており、今後競争が激しくなるであろう動画配信サービスにおいて、各社どのような戦略をとっていくのか見どころでもあります。

レンタルCD・DVD市場は不振

一方でレンタルCD・DVD市場については不信が続いており冴えません。

一般社団法人 日本映像ソフト協会 デジタル・エンターテイメント・グループ・ジャパンによると、2016年度のレンタルCD・DVD市場は前年度比6.7%減少の1,831億円。

有料動画配信市場規模よりは依然大きいものの、調査対象となった2007年から9年連続の市場縮小が続いていることが以下のグラフより読み取れます。2007年と2016年を比べると、市場が約半分になっていることもわかります。セル市場も苦戦が続いていると言えるでしょう。

有料動画配信 市場成長と レンタル市場 衰退

画像引用 : 一般社団法人 日本映像ソフト協会 デジタル・エンターテイメント・グループ・ジャパン 映像ソフト市場規模及びユーザー動向調査2016

トーンモバイルではTSUTAYA TVをキラーコンテンツにできるが・・

元々駅前などに実店舗を展開し、レンタルで成長してきたTSUTAYAからすると、市場環境としては良くありません。

TSUTAYAもTSUTAYA TVを手がけておりますが、下記ランキングを見ると競合の動画配信サービスと比べて利用率は高くないことがわかります。

有料動画配信-サービスランキング

画像引用 : GEM Partners 動画配信(VOD)市場に関する調査結果

ランキングに入っているサービスの中で、実店舗を持っているのはTSUTAYAだけであり、自社サービスとのカニバリゼーションを気にしなくて良いことも大きな違いと言えるでしょう。

そこで目をつけたのが、格安スマホ「トーンモバイル」ではないでしょうか。

TSUTAYA(ツタヤ)の格安スマホ トーンモバイル

画像引用 : トーンモバイル

トーンモバイルでは「実店舗のスペースを活かした低い固定費での販売」、「トーンモバイルにTSUTAYA TVのアプリをプリインストールしておける」、「トーンモバイルを利用するユーザーにはTSUTAYA TVのデータ量をカウントしない」といったメリットを取ることができます。

ところが、トーンモバイルの現在のキャッチコピーは「子供やシニアの方におすすめなTSUTAYAの格安スマホトーンモバイル」です。

スマホの利用制限、現在地確認、Webフィルタリングなどお子様を見守る機能が充実していることをアピールしていますが、自社のリソースを考えるとマッチしていないように見えます。

トーンモバイルはポジショニングを変えるべきでは

格安スマホはスマホ市場のポジショニングで見ると、既存の大手通信事業者にできないニッチ市場、低価格を売りにした差別化戦略を狙うビジネスモデルです。

その中でもOCNやIIJのシェアが高いのは、元々BtoBでの事業を行なっており、自社のリソースを使ってクロスセルができるところにあります。

トーンモバイルは後発サービスのため、格安スマホの中でも低迷中です。

格安スマホランキング

画像引用 : MMD研究所 2017年9月格安SIMサービスの利用動向調査

格安スマホも提供している会社が多い中、トーンモバイル単体で利益をあげなくとも、TSUTAYA TVと組み合わせて利用率を高めていくことで、中長期的に見て自社サービスの利用ユーザーを増やしていく戦略を取った方が良いと考えられるのではないでしょうか。

つまり、ポジショニング的にはスマホ本体+自社コンテンツにデータ特典をつけているLINEモバイルの方向へ寄せるべきとなります。その場合TSUTAYA TVをキラーコンテンツにすることができますが、TSUTAYA TVに競争力が出てこなければ共倒れの可能性も出てきます。

しかし、有料動画配信サービス、格安スマホ共に低迷している中、このままの戦略では勝機を見出すことは難しいでしょう。

蔦屋書店 などがうまくいっている間に、 相乗効果 を 発揮させて 利用ユーザー を増やすべきだと思います。

追記 : フリーテル 民事再生

2017年12月4日に格安スマホ フリーテル (FREE TEL)の元運営企業であるプラスワン・マーケティングが民事再生法の適用を申請したと発表しました。
負債総額は約26億円のようです。

参考 : 日本経済新聞社 格安スマホ「フリーテル」端末会社、民事再生法申請

既にキャッシュフローが厳しく、楽天モバイルに買収されておりましたので、既存顧客を移行させて予定通りの民事再生法適用へと進めたものと考えられます。

今後も顧客獲得競争が激しくなることから、淘汰が進むと見られます。