野球グローブメーカー ドナイヤ に学ぶベンチャー企業における マーケティング戦略

野球グローブメーカー ドナイヤ に学ぶベンチャー企業における マーケティング戦略

野球の グローブメーカー には様々なメーカーがありますが、その中の1社で「 ドナイヤ ( DONAIYA ) 」というメーカーはご存知でしょうか。

野球をあまりやらない方はもちろん、野球に詳しい人でも知らないという方が多いかもしれません。

実はドナイヤというメーカーは ベンチャー企業 で、知る人ぞ知る マニアックなメーカー とも言えるのですが、非常に面白い存在でもあります。

今回はそんな 野球グローブメーカー ドナイヤ に学ぶベンチャー企業における マーケティング戦略 についてご紹介いたします。

野球グローブメーカー ドナイヤ とは

ドナイヤとは、 野球グローブ のみを提供している会社で、 大阪府東大阪市 にある社長の 村田裕信さん 一人の会社です。

参考 : ドナイヤFacebook

村田さん は 営業 と 検品 を担当しており、製造と加工については硬式用グローブは 鹿児島県阿久根市 、 軟式用グローブ は ベトナムの製造会社 に依託して製作しているとのこと。

プロ野球選手 の多くは 大手スポーツメーカー と契約を結んでいます。中には 強豪校 であればアマチュア時代の学生時代から支援してもらえる学校もあるらしいです。

もちろん、 プロ野球 だけではなく サッカー や テニス など他の プロスポーツ選手 もメーカーと契約を結んでいるケースが非常に多いでしょう。

選手としては自分に最適な用具を提供してくれるだけではなく、 スポンサー料 を支払ってもらえるという メリット もありますし、 メーカー にとっては有名なooさんが使っているという プロモーション効果 に加えて、 使用感 を聞くことで 製品技術力 を高めていくことにも繋がっていくわけです。

野球の グローブ を買われたことがある方ならお分かりになると思いますが、お店に行くと oo選手モデル という ネーミング がついたグローブが置いてあります。

「 あの選手が使っているモデルだったら使ってみたい 」、「 自分もうまく打球が取れる気がする 」と 購買意欲 が高められることに繋がるのではないでしょうか。

ところが ドナイヤ 村田社長 曰く、「 他メーカー で oo選手モデル と謳っていても、その選手が使うものとはまったく違うものです。 僕は一般の人、特に 子ども にプロの選手が使うものと同じものを使わせたかったのです。 けれど、それはコスト的に難しいので、 サラリーマン としては無理です。 まず、コストを考えて製造するのが普通ですから。 利益度外視 でやるのは サラリーマン では無理で、それなら個人でやるしかないと。」

「 サラリーマン時代 に メジャー ( MLB )のキャンプに行くことがあって、 バリー・ボンズ や イバン・ロドリゲス とも話したんですが、みんな当たり前のように「 定番 」を使っているんですよ。 ある選手のためだけに作る 特別モデル ではなくて、 市販品 を。 メーカー から提供してもらうときも感謝の気持ちがある。 この選手のためだけに、とやっているのは日本だけなんです。 僕に言わせれば向こう( メジャー )は超一流です。 弘法筆 を選ばずです。 当たり前のように定番を使えるというのは腕が上ということです。」

引用 : GIGAZINE トリプルスリーの山田哲人が惚れ込む「市販品グローブ」を作るドナイヤ・村田裕信さんにグローブ作りについて聞いてみました
(こちらの記事は ドナイヤ についてよくわかる内容になっていますので、ぜひ一読を オススメ します。)

つまり、日本の プロ野球選手 が実際に使っている品質の グローブ と同じくらいのものを、他の多くの人にも使ってみて欲しいという思いがきっかけとなって設立された
ベンチャー企業 であり、「 プロとまったく同じ道具を誰でも買える 」という ビジネスチャンス を見出したと言えるでしょう。

ドナイヤ 社長 村田さんとは


画像引用 : GIGAZINE

ドナイヤの社長であり唯一の社員である 村田さん とはどのような人なのでしょうか。

元々は一般企業で働いていたそうですが、25歳の時に退社して オーストラリア へ ワーキングホリデー に。

オーストラリア から帰国後、通っていた バッティングセンター で偶然、読んだ雑誌に求人の電話番号が載っていたそうで、既に募集はほぼ終えていたそうですが面白そうだからと採用されたようです。

その際には ウィルソン で働いていたようで、 元ヤクルト だった 池山選手 と進行が深まり、野球やグローブ、仕事についても学ぶことが多かったようです。

そこからヤクルトの選手との関わりが深くなっていったのではないでしょうか。

それと同時に働いている際に、もっと多くの方に プロ選手 と同じような品質の グローブ を使って欲しいという思いに達したと考えられます。

ドナイヤ 名前の由来とロゴ

野球グローブメーカー ドナイヤ に学ぶベンチャー企業における マーケティング戦略2

ドナイヤ という名前は覚えやすいのですが、どのような経緯で名称が決められ、ロゴが決定したのでしょうか。

元々は 村田社長 が「 ドリームエージェント 」という名称を考えていたようで、DとA を組み合わせたロゴを作っていてようなのですが、既に名前の 商標登録 をされていたようで断念。

そこでDとAが付くいくつかの案を考えた中、 池山選手 に相談したところ「 どないやねん 」から「 ドナイヤ 」が生まれたようです。

しかし、村田社長はあまりよく思っていなかったようで、合計20程度の案を 商標登録 できるか調べてもらったところ、 ドナイヤ だけが 登録可能 という経緯の上で名称が決まったため、名付け親は 池山選手 だったんですね。

野球グローブメーカー の有名どころ

野球グローブメーカー

ドナイヤ の競合となる 野球グローブメーカー はどのようなところがあるのでしょうか。代表的なメーカーをご紹介します。

ミズノ

野球グローブメーカー ドナイヤ に学ぶベンチャー企業における マーケティング戦略 ミズノ
画像引用 : ミズノ

プロ野球選手 の中で最も利用率の高いメーカーが ミズノ でしょう。 プロ野球選手 から 少年野球用 まで幅広いラインナップが揃っています。

グローブ だけではなく、 スパイク 、 バット 、 ユニフォーム など野球に関する商品が全て揃っていて充実しており、ミズノだけで野球ができてしまうでしょう。

ミズノ利用で有名な選手といえば、 ヤンキースの田中選手 や ドジャースの前田選手 など多くの選手が挙げられます。

アシックス

野球グローブメーカー ドナイヤ に学ぶベンチャー企業における マーケティング戦略 アシックス
画像引用 : アシックス

アシックス も プロ野球選手 が多く使っているメーカーです。 昔は ローリングス と契約して展開していましたが、近年ではグローブもアシックスとして展開。

アシックス 利用で有名な選手といえば、 ダルビッシュ選手 や 大谷選手 などが挙げられます。

アディダス

野球グローブメーカー ドナイヤ に学ぶベンチャー企業における マーケティング戦略 アディダス

画像引用 : アディダス

昔 アディダス は野球のグローブを作っていませんでしたが、ここ数年で プロ野球選手 でも利用している人が増えてきました。

アディダス 利用で有名な選手といえば、 則本選手 などが挙げられます。

アンダーアーマー

野球グローブメーカー ドナイヤ に学ぶベンチャー企業における マーケティング戦略 アンダーアーマー
画像引用 : アンダーアーマー

近年最も勢いのあるメーカーといえば アンダーアーマー です。野球に限らず様々なスポーツで 存在感 を発揮しており、 売上成長 も非常に好調。

アンダーアーマー 利用で有名な選手といえば、 ソフトバンクホークス の 松田選手 や 柳田選手 が挙げられます。

ドナイヤ の マーケティング戦略 の特徴とは

既に多くの 競合メーカー がひしめく中、 ベンチャー企業 であるドナイヤはどのような マーケティング戦略 を行なっていったのでしょうか。

ベンチャー企業 が 大手企業 を含む競合に対してどうやって対抗していくのか参考になることも多いです。

以下3つについてご紹介いたします。

ファブレス経営

まず最初に押さえておきたいのが、ドナイヤは自社で製造は行なっていません。

通常製造業 であれば、自社の工場で熟練された技術者が製作していることが メーカー の強みと考えられる人も多いかと思います。

実際に 製造業 の メーカー では 自社生産 を行うことで他社と差別化を行なって 競合優位性 を出している企業も多いです。

しかし、自社で製造するためには技術者はもちろん、 設備投資 などそれなりに投資費用がかかってしまうことから、 ベンチャー企業 では難しい場合もあります。

そのような場合には、自社で企画や設計を行なって開発や制作は 外部工場 に 委託 する ファブレス経営 であれば、大きな 設備投資 が不要でメーカーとなることもできるのです。

ちなみに アップル や 任天堂 などの大手でも ファブレス経営 を行なっている場合もあります。

ファブレス経営 の メリット と デメリット

■ ファブレス経営 の メリット
・ 初期投資 があまりかからない
・ 固定費用 が自社で設備を持たないため抑えやすい
・ 自社のリソースを 企画 や 設計 、 プロモーション など他に当てることができる

■ ファブレス経営 の デメリット
・ 技術流出 の懸念がある
・ 製造側 の方が強い立場に立たれてしまう可能性がある
・ 自社独自の製造をして 技術者 を育てたい場合には自社で製造しなくてはならない

ファブレス経営 のポイントは「 目利き力 」です。

原価コントロール などはある程度誰でもできますが、「 どこの会社に頼むのか 」、「 製造物の品質はどうか 」といった部分に関しては 目利き が必要です。

村田社長 は 前職時代 の経験が ファブレス経営 に必要な 目利き力 として活きてきていると考えられます。

独自の発見に基づいた 製品戦略

ドナイヤのグローブの種類は大手と比べても当然数は多くありません。

ただし、村田社長が見つけたある共通点に基づいて 製品戦略 を行なっています。

その共通点とは プロ野球選手 と アマチュア選手 に関わらず、

ボールを掴むための ポケット位置
土手の広さの好み

に 共通点 を発見して、突き詰めた結果 3種類 の製品の型を導き出したことです。

その3種類だけで良いのかどうかはわかりませんが、 ベンチャー企業 でリソースが限られている中で、 自社独自 の フレームワーク みたいなものを発見して 製品戦略 として展開していることがわかります。

媚びないマーケティング戦略

ドナイヤ 山田選手
画像引用 : 週刊ベースボールオンライン

大手メーカーの場合、 プロ野球選手 に対して詳細なニーズを把握した上で専属のスタッフが付き、制作して oo選手モデル としてアマチュア向けに提供するのが一般的な流れです。

ドナイヤの マーケティング戦略 としては、プロの品質をアマチュアでも使うことができるという戦略に基づいているため、プロの選手でも特別扱いすることなく 市販品 を購入してもらうという考え方です。

そのため、 ヤクルトの山田選手 が初めての契約となったのですが、その 山田選手 も契約する以前は 市販品 を使って自分に馴染ませるという風に使っていたようです。

在庫がなければプロもアマも関係なく順番待ちをするという、 媚びないマーケティング戦略 を行なっていることがわかるでしょう。

今も山田選手が使うグローブについて、通常のメーカーであれば「 山田モデル 」と名付けるところ、ドナイヤでは「 DJIM 」という元々の製品名をそのまま使用しています。

その 山田選手 が使い始めたきっかけは、 ドナイヤ の グローブ を使っている選手が他にいたようで、借りてよかったのでというのが始まりです。つまり、紹介ですね。

ベンチャー企業 の場合には 宣伝広告費 に潤沢な予算をつけることが難しいので、 紹介 や 口コミ を大事にするために仕掛けを作ることが重要です。

もちろんサービスや商品が本質的に良くなければ長続きはしませんので、徐々に質を上げていくことを心がけましょう。

ドナイヤの 戦略上 の デメリット とは

ドナイヤの良いところを取り上げましたが、 戦略上 の デメリット についても考えていきたいと思います。

スケールしない

生産能力 は外部工場で増産可能なものの、 村田社長 が グローブの検品 を全て行なっているため、検品が ボトルネック となりスケールさせるのが難しい点がデメリットの1つ目です。

属人性が強い

村田社長 が一人で会社を切り盛りしているため、 属人性が強い 点がデメリットの2つ目です。

ベンチャー企業 の場合、良くも悪くも 創業者のカラー や意向が強く働くため、属人性が強くなりやすい傾向にあります。

スケール させるかどうかは会社の方針にもよるので、必ずしも悪いとは言えませんが、仮に 村田社長 に何かあった場合、 製品提供 がストップしてしまう可能性が高く、一般的には リスクヘッジ を行うべきと考えられます。

大手メーカー とは違った独自の製品戦略で注目

ドナイヤについてご紹介させていただきましたが、野球をやっている方であればぜひ一度どのようなグローブなのか触ってみたくなりますよね。

会社が大阪にあるということもあり、関西圏では取り扱いのあるお店が多いものの、関東圏では数が多くないので調べてから行きましょう。

軟式用グローブでも3万円以上するものもあり、安くはありませんがこだわりのある高品質のグローブなので手にしてみることをオススメします。

他の業界でも参考になる事例が多く含まれていると感じましたので、ヒントにしてみてはいかがでしょうか。