2021年10月28日にFacebook社が社名をMeta(メタ)に変更すると発表がありました。
2004年以来サービス名と同じ社名を使ってきていましたが、なぜこのタイミンングで社名変更をすることになったのでしょうか。
今回はFacebookが社名をMeta(メタ)に変更した理由についてご紹介いたします。
目次
Meta社(旧Facebook社)について
Facebookは2004年に米ハーバード大学に在学中だったザッカーバーグ氏らが立ち上げた会社です。
2012年には画像共有アプリ「Instagram」、2014年には対話アプリ「WhatsApp」の運営会社を買収し、VR端末の開発会社も買収してOculusを提供しています。
グループ全体の利用ユーザー数が36億人に迫る中、以下のチャートのように株価も右肩上がりで成長を続けています。
一方で、ここ数年の間にコーポレートガバナンスや管理体制への批判が高まっていることも見逃せません。
社名変更の理由とは
Facebookが社名をMeta(メタ)に変更した理由について見ていきましょう。
会社のリブランディング
企業が社名を変更するにあたってリブランディングを目的として掲げる場合が多く見受けられます。
Metaに社名を変更するFacebookも同じ理由と考えられ、社名変更によってイメージを刷新し、VR(仮想現実)などの成長領域に注力していくのでは無いでしょうか。
創業者のザッカーバーグ氏は2021年7月に「数年内にSNSの企業からメタバースの企業へ変わる」と発表をしておりました。
この時点で既に社名変更について計画があった可能性が高いと思われます。
元従業員がメディアや政府機関に大量の文書を流し、Facebookがサービスを提供していく中で長年に渡る否定的な内容がリークされ、ブランド的にマイナスのイメージが付く可能性もあった中、イメージを刷新しようとしたとも考えられます。
Facebook以外の事業への注力
Facebookは社名と同じSNS事業を創業時から中心事業としてきましたが、近年ではInstagram、WhatsApp、Oculusなど他のサービスも成長してきています。
一つのサービス名を社名としているのはユーザーへ覚えてもらいやすいという側面がある一方で、そのサービスが陰りを見せてしまうと会社全体のブランディングに影響が出てしまう可能性も十分にあるでしょう。
Facebookの利用ユーザーは30代以上というデータもあり、10代や20代は登録はしているけどほぼ使っていないか、そもそも登録自体していないという方も増えてきています。
一方でInstagramやWhatsAppは比較的若いユーザーも多く、Oculusも若いユーザーから家族で利用するなど、Meta社のユーザー層は広がりを見せています。
Facebookだけがメインと見られる社名を変更して幅広いユーザーをさらに獲得していきたいという狙いがあるのではないでしょうか。
「メタバース」と呼ぶ仮想空間の構築に広がっていると指摘し、「当社の事業のすべてを包含する社名が必要になっている」と発表もありました。
社名変更のデメリットとは
上記では社名変更をする理由や主にメリットをご紹介しましたが、社名変更を行うデメリットについても見ていきましょう。
費用と手間がかかる
社名変更には登記変更の手続きはもちろん、上場企業の場合には各種届け出も必要ですし、取引先や株主にも変更の連絡や書面などの手間が発生します。
サイトの変更やクリエイティブの変更も必要です。
もちろんその分の費用も発生しますのでMeta社のような企業規模であればかなりの費用と手間がかかっていることは間違いありません。
ユーザーへの浸透に時間がかかる
Meta社のサービスを利用しているユーザーであれば普段そこまで社名を意識することはないかもしれませんが、いきなりMeta社と言われてもピンとこないユーザーも多いのではないでしょうか。
社名の変更が浸透するまでには一定の時間がかかります。
例えばGoogle(グーグル)社は2015年に新しい会社組織を導入し、Alphabet(アルファベット)と呼ばれる親会社を設立しましたが、詳しく知っている方は株を持っている方や関係者以外ではそこまで多くないかもしれません。
会社に何か問題があったのかと思われる可能性も
Meta社ほどの企業規模であれば社名変更は世界的にニュースにもなるため話題にもなりますが、小さい企業やあまり有名ではない企業であれば社名変更がニュースになることはほとんどありません。
社名変更はリブランディングの機会になるため、さらなる成長を目指して社名を変更する場合もありますが、中には不祥事によって企業名を変更して思い出しにくくさせるといったケースも見受けられます。
そのため、社名変更があった際には理由についても見ておくことがおすすめです。
今後の成長のきっかけとなるか
Facebookでは実名制という特徴を活かして利用履歴や属性情報を元に、一人一人に最適なターゲティング広告を配信して事業を拡大させてきました。
効率的な広告配信の仕組みが評価され、インターネット広告ではGoogleに次ぐ世界シェアとなっており、同社の売上高は2020年12月期に859億ドルまで拡大。
一方で詳細な個人情報収集については批判も多く、今後は広告のプライバシー規制もさらに強化が見込まれています。
そのためにもFacebook以外の事業をさらに成長させていく必要性もあり、Meta社はメタバースと呼ばれる仮想空間の事業成長へ向けて2021年12月期に約100億ドル(約1兆1000億円)を投じ、今後も増やしていく考えがあると発表されました。
社名変更が今後の成長のきっかけとなるか注目していきたいと思います。
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