デジタルトランスフォーメーション(DX)の意味について事例を交えて解説

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デジタルトランスフォーメーション(DX)の意味について事例を交えて解説

最近デジタルトランスフォーメーションという言葉がよく使われており、聞くことが増えてきている方も多いと思います。

テクノロジーの発展によって次々と変革される社会システムや人々の生活をより良いものにする試みとして、デジタルトランスフォーメーションが注目されています。

今回はデジタルトランスフォーメーション(DX)の意味について事例を交えて解説いたします。

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは

デジタルトランスフォーメーションとはITの発展に伴い、企業が社会や顧客のニーズを的確に捉えて新たなビジネスモデルやサービスを展開することです。

組織制度や業務プロセス、企業文化など対顧客以外の部分でもITを活用し、競合優勢性を強化していくことでもあります。

例えば、テクノロジーを活用して農家が農産物から収集したデータを元に生産性を上げたり、シェアリングサービスの普及でモノを所有する時代から必要なときだけモノをレンタルして利用するなど、デジタルトランスフォーメーションの活用で社会構造・産業構造が大きく変容していくことが予想されます。

デジタルトランスフォーメーションがDXと呼ばれている理由

デジタルトランスフォーメーションがDXと呼ばれている理由

デジタルトランスフォーメーションは「Digital Transformation」となり、DXの略称ではないことに気づかれると思います。

これは英語圏において「Trans」を「X」と略すことからきており、デラックスではなくディーエックスと呼びますので覚えておきましょう。

デジタルトランスフォーメーションが注目されている理由

デジタルトランスフォーメーション(DX)が注目されている理由は、経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」のレポートに記されている「2025年の崖」にあります。

具体的には、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した従来のシステムが改善されずそのままになっており、デジタルトランスフォーメーションに対応できず、2025年以降の経済損失が最大年間12兆円にまで達してしまう可能性があるという問題です。

デジタルトランスフォーメーションが注目されている理由

参考: 経済産業省 デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討

また、デジタルトランスフォーメーション事態に恩恵があるのかというアンケート調査では、デジタルトランスフォーメーションの導入効果に対して前向きな回答が多く、導入に対しても期待が高まってきていることが推測できます。

デジタルトランスフォーメーションの推進にむけた企業の現状と課題

デジタルトランスフォーメーションの現状の課題としては、システムの維持・管理コストが多く、将来を見据えた戦略的なIT投資として事業資金や人材確保に振り分けられていないことが挙げられます。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にむけた企業の現状と課題

参考: 経済産業省 デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討

図のように、IT予算の80%はシステムの管理・維持コスト(ラン・ザ・ビジネス)に回されており、短期的な観点で自社に導入するシステムを開発した結果、長期的なシステム管理・維持コストが高騰し、技術的な負債を抱えていることが分かっています。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にむけた企業の課題

参考: 経済産業省 デジタルトランスフォーメーションに向けた課題の検討

また、約8割の企業がシステムの老朽化に直面しており、約7割の企業がシステムの老朽化によってデジタルトランスフォーメーションの足枷になっていると回答しています。

2025年までデジタルトランスフォーメーションによる改善ができなかった場合、以下のような問題が発生すると予想されています。

  1. 急速に増加する膨大なデータを活用できないことやマーケットの変化に柔軟に対応し迅速にビジネスモデルを調整・変更できない。
  2. サイバーセキュリティやデータ損失、事故・災害、システムダウンなどのリスクが高まる。
  3. 従来のIT予算の9倍にまで費用が高額になり企業経営の足かせとなる。
  4. ITシステム運用・保守の担い手不足となり業務基盤の維持・継承が困難になる。

デジタルトランスフォーメーションを実現するテクノロジー

デジタルトランスフォーメーションを実現するテクノロジーとして、AI(人工知能)、Iot(モノのインターネット化)、5G(第5世代移動通信システム)が注目されています。

AIによるデジタルトランスフォーメーション

AI(人工知能)によるデジタルトランスフォーメーションによって今まで膨大な時間を費やしていた作業を大幅に削減することができ、企業は「人件費の削減」「精度の高いデータ解析」「作業効率化」などの恩恵を受けています。

株式会社キュービックは株式会社SmartHRのクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を導入したところ、入社手続きに費やしていた時間を従来の1/2に削減することに成功しています。

また、江崎グリコ株式会社はセールスフォース・ドットコムの「マーケティングオートメーション(MA)」を導入したところ、企業を対象にした備蓄食料サービスの問い合わせ軽油の受注率が100%になるなどの効果が出ています。

IoTによるデジタルトランスフォーメーション

IoT(Internet of Things)のデジタルトランスフォーメーションによって本来インターネットに繋がっていない家具家電、デバイスなどのモノがインターネット化され「何時間テレビを見たのかなどのデータ収集」「美容機器で肌データを管理」などの情報収集・分析などができるようになります。

大塚製薬は薬を服用する必要のある患者に対して薬の飲み忘れを防止するIotサービスを開発しており、「設定した時間にLEDが点滅して自動通知する機能」や「薬を服用したことを容器が検知し、本人や家族の所有するデバイスにデータを共有する機能」を導入することで患者をサポートしています。

また、資生堂が提供しているIotスキンケアサービスの「オプチューン」は利用者の肌情報を収集し、利用者に適した美容液や化粧水などをピックアップしてくれるIotシステムを導入しており、美容部員の提案作業の削減やユーザーデータの蓄積などに活用できています。

5Gによるデジタルトランスフォーメーション

5G(第5世代移動通信システム)によるデジタルトランスフォーメーションが実用化されれば、「高速通信・大容量データ処理・低遅延・多数同時接続」が実現します。

  • 4K・8Kといった高解像度の映像をライブ配信できる
  • VR・AR上で高画質かつスムーズに利用できる
  • Iotを使ったマーケティングの幅が広がる
  • インターネット通信の高速化によりテレワークが一般化する

など、様々な業界に大きな技術革新をもたらします。

費用対効果を中長期的に考えて早めの行動を

デジタルトランスフォーメーションとは、AI・Iot・5Gなどの技術革新により新たな価値を創出し、競合優位性を高めていくことです。

ただ、2025年までに各企業がデジタルトランスフォーメーションに対応しなければ2025年以降の経済損失が最大年間12兆円になる可能性も指摘されています。

現状の課題は、約8割の企業が従来の老朽化・複雑化・ブラックボックス化していることで、IT予算の80%がシステムの管理・維持コストにかかるなど資金面の課題も見られています。

企業によって対応のレベルや時期など取り組みに差が出てくることが予想されますが、費用対効果を中長期的に考えてなるべく早めに準備と実行に取り掛かることが有伊勢につながってくることが予想されます。

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ABOUTこの記事をかいた人

証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2016年10月より独立。2017年7月株式会社Milkyways設立、代表取締役CEO。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻(WBS)修士課程卒。専攻はベンチャー企業論、ベンチャー経営論。趣味はダンスとラーメン。