2012年頃から日本でも大手企業を中心に普及が始まっている マーケティングオートメーション ( MA )。
マーケティングオートメーションツールと言えば海外大手ソフトウェアベンダーの高機能なサービスをはじめ、機能特化した比較的お手頃な価格で使えるサービスも増えてきたこともあり市場が広がってきています。
その中で「 Mautic 」という オープンソースソフトウェア ( OSS )のマーケティングオートメーションツールがあるのはご存知でしょうか。
無料でも使えるため スタートアップ や ベンチャー企業 にもおすすめな Mautic についてご紹介させていただきます。
目次
Mautic について
参考:mautic.com
Mautic(マウティック)とは、David Hurleyさんらが創業したアメリカのMautic社が提供しているサービスです。
Mauticはオープンソースのマーケティングオートメーションツールで、クラウドでもオンプレミスでも導入可能な点が特徴のサービスと言えます。
主にPHPで実装されているようでオンプレスミスの場合にはPHP、MySQL、cronが使えるサーバが必要です。
ちなみに「ITR Market View:マーケティング管理市場2017」によると、日本国内における統合マーケティング市場(マーケティングオートメーションのこと)の市場規模は2016年度が59.7%増加、2017年は約140億円に達すると発表があります。パッケージ型よりもSaaS(クラウド)型の方が市場規模と成長率が高い予測です。
参考 : ITR Market View:マーケティング管理市場2017
オンプレミスは無料ですがクラウドは完全無料ではなく、作成できるリード数が5,000人までとメールが1日1,000通までの制限があり、それ以上は1ヶ月あたり500ドルのプランとなります。少し前は100ドルでしたが値段が上がったようです。
Mauticの有料プランと無料プランの主な違い
- 管理できる人数制限がなくなる
- メール送信数制限がなくなる
- サポート対応の有無(基本は英語)
- SFAやCRMなど他システムとの連携
- 顧客情報のインポートができる
上述の価格表から分かる通り、メールと管理数の制限がなくなりますので、顧客情報数が5,000件以上になる企業では有料プランを利用されるケースが多いでしょう。
また、Mauticの無料プランはサポート対象外となっていますが、有料プランであれば英語でのサポートを受けることができます。
さらに、APIを利用したSFAやCRMなどと連携することにより機能拡張や顧客情報の一元化なども可能になります。
Mautic の機能について
Mauticの機能に関してですが、顧客管理、Webアクセスログ履歴の収集、メール配信、ランディングページ作成、キャンペーン管理、レポート分析などが搭載されています。
どちらかというと、BtoCよりもBtoBの事業を行なっている企業に合ったツールと言えそうです。
出来ること
- リードナーチャリング
- キャンペーン、ランディングページ作成
- アクセスログ履歴の収集
- 顧客分析
- メールでのリテンション
Mautic 主な機能
モニタリング
Webサイトなどで訪問者をトラッキングできます。
リード管理機能
既存顧客(リード情報を持っているユーザー)とゲストの2つのタイプのリードを管理できます。
スコアリング(ポイント)機能
顧客スコアリングのことをMauticではポイントと呼んでおり、スコアリング管理と分析ができます。
キャンペーン機能
リードを育ていくために、時間とログやCRM情報を元にキャンペーンを実施することができます。
メール機能
Mauticとメールプロバイダサービスを連携させることで、メールログがリード情報として記録されます。
フォーム機能
フォームから入力された情報により、リード情報の更新とポイント付与ができます。
ランディングページ機能
ランディングページを作成してキャンペーンを行うこともできます。
アセット機能
ホワイトペーパーや動画視聴などの統計情報をトラッキングできます。
ソーシャルメディア連携機能
FacebookやTwitterなど連携用APIを提供しているSNS連携から情報配信やリードの反応を見ることができます。
レポート機能
管理画面から各種レポート情報を見ることができます。
オープンソースのメリットとデメリット
Mauticのようなマーケティングオートメーションに限らず、オープンソースのサービスは数多く存在します。
有名なオープンソースといえばwordpressを思い浮かべる方も多いでしょうし、日本企業で有名なのはロックオン社が提供しているEC-QUBEも挙げられるでしょう。
オープンソースを利用するメリット
- 無料で利用できる(オプションなど一部有料の場合もあり)
- ソースコードが入手できる
- カスタマイズを行いやすい
- 有名なオープンソースの場合、プラグインやカスタマイズの記事などが豊富
オープンソースを利用する場合に、まず思い浮かぶメリットとしては無料で利用できることです。
無料だと気軽に始めることができるので、特に中小規模の会社にとってテストマーケティングも兼ねて試してみようと導入してみるケースが多いのではないでしょうか。
社内にエンジニアがいる会社や外注して自社に合ったカスタマイズを行いやすいということも挙げられます。
オープンソースを利用するデメリット
- 基本は自分たちで調べて運用や疑問点を解決する必要性がある
- 品質に対する保証がない
- 日本語ドキュメントが不足している場合が多い
- セキュリティは自分たちで行う必要性がある
オープンソースのデメリットとして、営業やサポート担当がいるわけではないので導入や運用を行なっていく中で、わからないことが出てきた際には自分たちで解決していく必要性があります。
wordpressのように有名なオープンソースはwebサイト上に記事の掲載があったり、ユーザーコミュニティが形成されていたりと調べることで解決できることも多いのですが、中には情報量が少ないサービスや日本語でのドキュメントが少ない場合もありますので注意しましょう。
また、オープンソースの中には脆弱性を狙った攻撃が多いものもあり、マーケティングオートメーションは名前やメールアドレスなどの顧客個人情報を保存して運用することもありますので、事前に対策を練った上で導入することがおすすめです。
オープンソースは自分たちでカスタマイズも行えるために柔軟性が高い反面、ある程度は自力で調べて設定や運用を行う必要性もあるため、費用以外の導入コストや運用コストがかかる場合があることも頭に入れておいた方が良さそうです。
Mauticを無料で使うには中小企業や技術力の高い企業がオンプレで使うのがオススメ
Mauticについてご紹介させていただきましたがオープンソースの特性上、コストを抑えつつカスタマイズ自由度も高いため、まずはマーケティングオートメーションを試してみたい中小企業や自社エンジニアが開発できる技術力の高い会社で重宝されるのではないでしょうか。
反対にあまり開発に自信がない企業の場合には、設定や運用を自社で行わないといけないことから有料のサービスを使った方がトータルコストと費用対効果が高いとも言えそうです。
オープンソースはサービスにかかる費用は非常に低いものの、情報収集やカスタマイズといった人的コストは発生するため、外注してしまうと結局有料サービスの方がコストが抑えられるという場合も往々にしてあります。
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