サブスクリプション型サービスやSaaSで使われるMRRとARRの違いについて解説

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MRRとARRの違いについて解説

BtoB、BtoC共にサブスクリプションビジネス、Saasビジネスが拡大の一途を辿る今日では、MRRやARRという言葉を耳にする機会も増えてきたのではないでしょうか。

今回はMRRとARRの違いについてご紹介いたします。

MRR(Monthly Recurring Revenue)とは

MRR(Monthly Recurring Revenue)とは、サブスクリプション型サービスやSaaSなどで使われる言葉で、毎月得られる収益のことを指します。

月次経常収益と呼ばれることもあります。

初期費用のような一時的な収益などは含めずに毎月の継続的な収益のみを合算することで、安定的に入ってくるであろう売上見込から事業計画が立てやすくなることからも利用されています。

なお、MRRは決算など財務会計で利用するものではなく、進捗状況の確認や事業戦略立案などに利用するための管理会計として使われるものです。

サブスクリプションの意味とは?メリット、デメリットについて解説

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2021年4月7日

ARR(Annual Recurring Revenue)とは

ARR(Annual Recurring Revenue)とは、毎年必ず発生する収益のことで、年間経常利益と訳されます。

ARRを確認することで、企業の成長度合いが把握できますし、新規顧客獲得、解約率(チャーンレート)などの状況も確認できます。

MRRの計算方法

MRRの計算方法

MRRの計算方法について見ていきましょう。

MRR=(月額利用料)×(ユーザー数)で算出できます。

また、プランが複数ある場合には、それぞれのプランを上記の計算式に当てはめてMRRを算出します。

例えば月額利用料が10,000円のAプランでユーザー数が100人、月額利用料が30,000円のBプランでユーザー数が100人の場合は
Aプラン(10,000円×100人=1,000,000円)+Bプラン(30,000円×100人=3,000,000円)=4,000,000円がMRRになります。

サブスクリプションサービスやSaaSでは年間契約や半年契約など、複数の契約プランを用意している場合と思いますが、年間契約の場合にはARRを12で割って月額料金を計算した上で算出しましょう。

MRRの4分類

MRRは4つに分類できます。以下では、それぞれの種類について解説します。

New MRR

New MRRとは、新規顧客から得られるMRRを指します。

サブスクリプションビジネスだけに限りませんが、新規顧客から得られる収益は最も重要視すべき指標と言えるでしょう。

Churn MRR

Churn MRRとは、解約MRRとも呼ばれ、解約をした顧客から得ていたMRRを指し損失分となります。

New MRRが多くてもChurn MRRが上回ってしまうとMRRの積み上げに繋がらないためChurn MRRが高い場合には理由をしっかりと把握することが重要です。

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2019年5月2日

Expansion MRR

Expansion MRRとは、前月よりも商品・サービスなどをアップレードした既存顧客のMRRのうち、増加分のMRRを指します。

アップグレードしたことで、取引額が増加します。

プランが1種類しかない場合にはExpansion MRRはありません。

Downgrade MRR

Downgrade MRRとは、前月よりも商品・サービスなどをダウングレードした既存顧客のMRRのうち、損失分のMRRを指します。

ダウングレードしたことで、取引額が減少します。

Expansion MRRと同じくプランが1種類しかない場合にはDowngrade MRRもありません。

MRRを改善するためのポイント

MRRを改善するためのポイント

MRRを改善するための施策を、それぞれの種類別に紹介します。

New MRRを改善するための施策

New MRRを改善し、増やすためには、新規顧客の獲得が必須です。

見込み顧客(リード)を増やす、コンバージョン率を向上させる、などのマーケティング施策を行いましょう。

Churn MRRを改善するための施策

Churn MRRを改善し、減少させるためには、解約を防止するための対策が必至です。

顧客の意見をよく聞き取り、サービス改善につなげるなど、自社商品・サービスの問題点・課題点をなくす努力が必要です。

Downgrade MRRを改善するための施策

Downgrade MRRを改善し、減少させるためには、サービス・商品の品質を向上させることが大切です。

サービスが使いこなせていない顧客のために、継続的なサポート体制を構築し対応するなどの施策を行いましょう。

Expansion MRRを改善するための施策

Expansion MRRを改善し、増やすためには、顧客単価を上げる努力が必要です。

顧客単価をあげるためには、商品・サービスのオプション導入や、関連サービスの付加などが行える体制を築く必要があります。

MRRが重要な理由とは

MRRが重要な理由とは

MRRが重要な理由について見ていきましょう。

SaaS Quick Ratioの分析に必要

MRRは、「SaaS Quick Ratio」を分析し、企業の成長度を把握するために必要とされます。SaaS(Software as a service)とは、クラウドサービスを提供するビジネスのことで、Quick Ratioとはビジネスの成長性を測定するための指標です。SaaS Quick Ratioは、以下の計算式で求められます。

SaaS Quick Ratio(%)=(New MRR+Expansion MRR)÷(Downgrade MRR+Churn MRR)

「MRR増加分」を「MRR減少分」で除することで、増加と損失のバランスを把握できます。

パーセンテージが高いほど、増加分が多いこととなり、ビジネスの成長性が高いことが示されます。

投資家の判断材料になる

MRRは投資家にとって重要な判断材料になります。

投資家が投資判断を行う際、ビジネスの成長性は重要な判断基準となります。

創業期の企業ではNew MRRを注視、発展段階ではExpansion MRRを注視し、SaaS Quick Ratioを把握することで、成長企業であるかを判断します。

MRRを見る場合のポイント

MRRを活用する際に注意すべき点を解説します。

無料期間やディスカウント

MRRを計算する際に、ディスカウントや無料期間に留意する必要があります。

サブスクリプションサービスの場合、加入後半年は割引ディスカウントや契約後1か月は無料などの無料期間を設けているサービスも多いはずです。

ディスカウントや無料期間がある際には実際の売上で計算しましょう。

初期費用や追加購入など一時的な売上と分ける

同じユーザーから得られた収益であっても、MRRとその他の収益は明確に分けておきましょう。

MRRは、月額として繰り返し得られる収益になりますので、初期費用や追加購入など一時的な売上とは分けておく必要があります。

MRRの積み上げを行ってARRを増やしていこう

MRRとARRはクラウドサービスや、サブスクリプション型ビジネスにおける、経営上の重要な指標となります。

MRRを計算することで把握できること、MRRを経営に活かす方法などを理解し、マーケティングに役立てましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2016年10月より独立。2017年7月株式会社Milkyways設立、代表取締役CEO。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻(WBS)修士課程卒。専攻はベンチャー企業論、ベンチャー経営論。趣味はダンスとラーメン。