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注目の人気美容室LIPPS(リップス)について
引用: LIPPS
LIPPS(リップス)という美容室はご存知でしょうか。
10代から20代の男性を中心に人気を集めている 美容室で 原宿 、 表参道 、 銀座 といったおしゃれエリアを中心に18店舗を運営しております。
記事作成時点では8店舗でしたが、2020年2月時点では18店舗とさらに増加していたため追記。
残念ながらぼくのような30代はメインのターゲットユーザー層には含まれておりません笑
雑誌やメディアなどでも度々紹介がされており、毎週木曜日に変更となるのですが HOT PEPPER Beauty の 2020年10月時点では メンズヘアー 人気ランキング4位の中で3つ、10位の中でも7つLIPPSの ヘアースタイル が ランクイン しております。
引用元 :HOT PEPPER Beauty 人気ヘアスタイルランキング メンズ
※毎週木曜日にランキング更新のため、画像とは異なる場合もあります。
なぜLIPPSのことを取り上げたかというと マーケティング戦略 に優れた 企業 であり、参考になることがあるなと感じたからです。
今回は美容室業界の環境分析を踏まえてLIPPSの特徴についてご紹介させていただきます。
美容室業界 の 環境分析 について
まず 美容室業界 とはどのような業界であるのかについて見ていきましょう。
厚生労働省 資料によると、平成30年度末で「 美容所 」は 251,140施設 となっており、前年比3,562施設(1.4%)の増加。一方で「 理容所 」は119,053施設で、前年度に比べ1,912施設(1.6%)減少しております。
平成29年度衛生行政報告によると美容師さんの従業数は52万3,543人で前年より1万4264人(前年比2.8%増)増加、 理容師さん の 従業数 は、 23万1,053人で前年より2,991人減少しています。
前年度比だけではなく、ここ数年 美容室 、 美容師 さんは 増加傾向 にあるのに対して、 理容室 、 理容師 さんは減少していることも厚生労働省の発表資料より確認ができました。
上記を計算すると1年間の調査期間のズレはあるのですが、
- 美容院 は 1店舗 あたり 平均約2.12人
- 理容所 は 1店舗 あたり 平均約1.94人
で運営しているという計算となります。
項目 | 美容室 | 理容室 |
---|---|---|
施設数 | 251,140(+3,562) | 124,584(-1,962) |
従業数 | 523,543(+14,254) | 231,053(-2,991) |
施設あたり人数 | 2.12 | 1.94 |
※()内は前年度比
また、人口あたり 美容院 の数が多い 都道府県ランキング について、 タウンページ の情報をもとに人口約10万人当たりの登録件数でみると、1位は秋田県(207.14件)、 2位は鳥取県(199.30件)、 3位は山形県(198.32件)となっているようです。
地方では個人経営のお店も多く、登録件数が多くなるのかもしれません。
上場している美容院関係の企業分析
美容院関係で上場している企業として上げられるのが、TAYAなどを展開している田谷社、Ashなどを展開しているアルテサロン社、モッズヘアーなどを展開しているエム・エイチ・グループ社があるので見ていきましょう。
田谷 TAYA などを展開
参考:田谷
引用元:Yahoo!ファイナンス
アルテサロン Ash などを展開
参考:アルテサロン
引用元:Yahoo!ファイナンス
エム・エイチ・グループ モッズヘアー などを展開
URL:エム・エイチ・グループ
引用元:Yahoo!ファイナンス
単純に上記の決算内容だけ見ると 田谷 、 エム・エイチ・グループ が苦戦しているのに対して アルテサロン が比較的堅調に推移していることが見て取れます。
これらを勘案して業界を見てみると、
- 美容院業界 の 会社数 ( 店舗数 )が多い
- IR情報 が公開されている上位企業の決算内容を見ても 規模 が必ずしも 利益に繋がるわけではない
- ファッション感度の高さ
- 最先端のヘアーを実現できるカット、カラー、パーマ技術力
- カッコよく決まるスタイリング技術力
- おしゃれな立地
- 接客の良さ
- ステータス感
の点から、 アドバンテージマトリクス では「 分散型事業 」に当たるのではないかと考えられます。
分散事業の特徴としては競合上の競争要因が多く、優位性を構築する可能性が小さいパターンに当たります。
例えば ラーメン屋 さんや そば屋さん などの飲食業界が該当します。
このような業界では 店舗経営者 や人気の 美容師さん (昔でいうところの カリスマ美容師 )による現場での資質が鍵を握ることが多く、規模の経済が効きにくいため、 大規模化 が進まないことが多いとされています。
ちなみに 10分1,200円カット(昔は1,000円でしたが値上がり)でおなじみの QBハウス は 美容所 と 理容所 どちらにあたると思いますか?
洗面台もないしほぼ男性ばかりの客層で理容所かなと思っていたのですが、下記の資料によると2014年6月時点では理容所が41%、美容所が57%、理美併設店舗2%と複合的に運営を行っていることがわかりました。
理美併設店舗というハイブリッド的な店舗もあるようです。
LIPPS の STPマーケティング について
STPマーケティングとは市場の中でどのような価値を誰に提供して優位性を出していくかを考えるためのマーケティング手法で、「セグメンテーション」、「ターゲティング」、「ポジショニング」の3つの頭文字をとって呼ばれております。
フィリップ・コトラー 氏の代表的なマーケティング手法の一つですね。
セグメンテーション Segmentation
市場における顧客ニーズについてグルーピングを行い、市場をセグメント化していきます。そこから市場調査やペルソナを設定し、ユーザ層、購買層といった形で明確化していきます。簡単に言うと市場をどんな切り口で見るかという意味合いです。
ターゲティング Targeting
セグメント化した結果、戦略上競争優位性を得られる可能性が高い、自分たちが参入すべき市場セグメントをターゲティングしていきます。選定には、複数のセグメンテーション軸を組み合わせて行なうことが一般的で、ターゲットのニーズを細かく分析することが重要です。
ポジショニング Positioning
顧客に対して自分たちのポジションをどこに取るかを決めていきます。既に競合他社が多い業界の場合、顧客ニーズを十分に満たし、機能やコスト面での独自性が受け入れられるかがポイントとなるでしょう。
例えばラーメン業界のラーメン二郎のように、バイネームで指名されたり語るべくストーリー性のあるブランディングもポジショニング戦略としては重要な要素となってきます。
ここからはLIPPSのSTPについて見ていきましょう。
LIPPS は若い男性に特化した 最先端 の流行ヘアーを提供することにあります。そのため、男性専用の美容師さんがいることも特徴としてあります。
理容室では男性顧客が多いためにありえますが、美容室ではこのような美容師さんは元々珍しく、当時はあまり無かったと言えるのではないでしょうか。最近ではメンズ専門の美容室も増えてきているようですが、LIPPS ができた当時は珍しいようで周りからもうまくいかないのではないかと言われたこともあったようです。
右上のポジショニングでのKSF(Key Success Factor)としては、
などが挙げられるでしょうか。
LIPPSでは、オリジナルの カット技術 【 フレームカット 】と呼ばれているものがあり、それぞれの 骨格 、 髪質 に合わせ、似合わせるためのデザインを形にする カット技法 のことのようです。
LIPPSのカット技術は全てこの フレームカット を基本としています。
参考:LIPPS 技術
この技術がどれくらいすごいのかは素人の私では正直わからないところですが。。
LIPPSのメディア戦略について
メディア戦略は大きく分けてオフラインとオンラインで分かれます。
オフラインですとTVや雑誌、交通広告などが当てはまり、オンラインではオウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアと呼ばれるものが該当します。
LIPPS は日頃インターネットで情報を取ることが多いと予想される10〜20代のメンズがメインターゲット層となりますので、オンラインでのメディア戦略について考えていきたいと思います。
オウンドメディア
オウンドメディアとはいわゆる自社サイトのことです。コンテンツを充実させることでSEOやブランディングを行うことにつなげていきます。
オウンドメディアは採用のためにも重要な意味合いを持っていることも多く、力を入れているケースが多いです。
業界によってもまちまちですが、美容室業界の場合にはデザインをカッコよくしたり、カット写真を載せることでカットイメージを沸かせることが重要になるでしょう。
力を入れている美容室の中にはブログを充実させてコンテンツマーケティングを行っている場合も見受けられます。
ペイドメディア
ペイドメディアとはお金を払って掲載する広告や媒体のことです。美容室業界で一番のペイドメディアといえばHot Pepper Beautyがあげられるでしょう。
Hot Pepper Beautyは集客力のある媒体ですし、私もHot Pepper Beautyで検索して予約をしたうちの一人です。
新規顧客獲得のためにも掲載したいサロンが多いと思いますが、その中でもTOPや目立つ箇所に掲載されるような場合、月額で数十万円は必要とされております。
LIPPS はHot Pepper Beautyでも上述のようにランキング入りしていることも多いため、かなりの金額を投資していることが予想されます。
画像掲載の量の多さやブログなども頻繁に更新しており、うまく使いこなしているように見受けられますが、費用対効果が合っているのか気になるところではあります。
アーンドメディア
アーンドメディアは信頼や評判、共感するメディアという意味合いがあり、主にSNSを指します。
LIPPS のアーンドメディアは Twitter 、 Instagram 、 Youtube 、 Facebook を利用しているようです。
Twitter 、 Instagram 、 Youtube は比較的頻繁に更新しているものの Facebook は2016年の途中から更新がされていないようですので、ターゲットユーザー層とは合わなかったのでしょうか。
その中で一番興味深かったのがYoutubeです。動画は訴求力が高い反面、比較的制作コストが高く運用が大変ですが、昔からかなりの本数を登録しており、再生数も多いものでは10万再生以上されているものもあります。
上記の3つのメディアを見ても webマーケティング に相当力を入れていることが見て取れ、美容室業界の中でもトップランクと言えるでしょう。
おそらく web専門部門 があるか、 コンサルティング の会社さんなどに頼んでいるのでは無いかと思います。
LIPPSとOCEAN TOKYOの違いとは
LIPPSと同じくらい人気のある美容室としてOCEAN TOKYO(オーシャントーキョー)を聞いたこともあるのではないでしょうか。
OCEAN TOKYOの創業者はLIPPSから独立した方もいまして、LIPPSとOCEAN TOKYOの違いについても簡単にみていきましょう。
こちらもあくまで美容に関して素人の意見ですので、ご参考程度に考えていただければと思います。
参考:OCEAN TOKYO
カットについて
カットについては正直素人がパッとみた感じだと全然わかりません。
軽くて束感のある今風のカットやセットをお願いしたければどちらでも間違えないと感じます。
OCEAN TOKYOの方が言うには、LIPPSの方が軽さを出す傾向にあるとのことでした。
セットについて
LIPPSではカット以外はアシスタントの方が行うという違いがありますが、アシスタントのセットもかなり上手いためあまり気になりません。
OCEAN TOKYOではカットをしてくれた方がセットも行ってくれました。
ただ、LIPPSは分業体制のようで、ほぼ同じ時間帯に一人の美容師の方が複数の人のカットを行い、終わり次第アシスタントの方にバトンタッチを行うということから、忙しい時間帯に行くと待ち時間が出てしまうこともしばしばありました。
売上の最大化を行うという観点から見ると、分業体制にしてカットをトップスタイリストなどが行い、セットはアシスタントの人に任せる方が効率的であるとは考えられます。
施術時間について
LIPPSは髪を切った後に一回セットを行い、その後髪を洗ってもう一回セットをするため施術時間については少し長くなる傾向にあります。
セットの仕方を覚えたいという事であればLIPPSの方が二回見れるので良いかもしれません。
年齢層について
たまたま時間帯にもよるかもしれませんが、OCEAN TOKYOの方が若干若い人が多いような気がしました。
30代っぽい方はLIPPSもOCEAN TOKYOにもいませんでした。
ワックス、ヘアケアについて
LIPPSではオリジナルのワックスやヘアケアも発売しており、非常に評判が良いようです。
僕もたまに使っていて、最近ではドンキホーテなどでも売っているので買っています。
種類が色々あり、僕はハードブラストのグレーのやつを使っています。
他の美容室でも ヘアケア製品 から興味を持ち始めるケースもあると思いますが、全体的に見て マーケティング に長けた企業で違う業界の方でも学ぶところが多いのではないでしょうか。
LIPPSが人気の秘訣とは
LIPPSの ポジショニング や メディア戦略 について見ていきましたが、人気の秘訣は実際に店舗に行って見てわかることがありました。
それはおしゃれな駅前の一等地にあることはもちろん、カットやスタイリングの技術が優れていることに加えて接客のサービスが丁寧で素晴らしいところにあると思います。
美容院での一番の目的は技術力を求めておしゃれで カッコイイ 、 可愛い ヘアスタイル になることです。
ただ、 サービス業 としての本質である 接客サービス が優れており、また気持ちよく来たいという部分が 新規顧客獲得 の マーケティング戦略 に加えて、リピーター顧客の獲得に大いに影響しているはずです。
金額的に言うと メンズカット で6,000円〜とそこまで安くはないのですが、先端の流行を取り入れた カット技術 に加えてサービスも良いのであれば 費用対効果 が十分見込めると言えるでしょう。
おしゃれを意識している男性の方や マーケティング に関心がある方であれば 一度 訪れてみても良いと思います。
画像引用 : HOT PEPPER BEAUTY LIPPS 予約
また、美容院のマーケティング支援やwebサイトの制作などのご相談も無料で行っておりますので、ご興味・関心がありましたらお気軽にご連絡下さい。
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