履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の取得方法や手数料を解説

4,307 PV

履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の取得方法や手数料を解説

履歴事項全部証明書は、会社の設立や法人口座の開設、融資や補助金申請など様々な場面で使用する書類になります。

取得する際には法務局で取得することが多いと思いますが、オンラインでの取得も可能です。

今回は履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の取得方法や手数料についてご紹介いたします。

履歴事項全部証明書(登記簿謄本)とは

履歴事項全部証明書は登記された法人情報を証明するための書類です。

登記簿謄本や謄本と呼ばれていることも多く、法人の書類提出が必要な際に最も代表的な書類でしょう。

会社を設立する場合、社名や住所、代表者といった情報を法務局で登記すると法的に会社設立が認めらることになります。

元々は登記情報が登記簿という帳簿に記載されていたため、登記簿抄本を利用することが多かったのですが、登記情報が電子データ化されてからは、登記事項証明書が登記簿抄本の代わりに利用されています。

履歴事項全部証明書そのものに有効とされる期限は定められていませんが、一般的には発行日から3カ月以内のものが認められることが多いです。

登記事項証明書の種類について

登記事項証明書の種類について

登記事項証明書には代表者事項証明書・現在事項証明書・履歴事項証明書・閉鎖事項証明書の4種類があります。

それぞれの証明書の概要について見ていきましょう。

会社の代表者事項を記した代表者事項証明書

代表者事項証明書は会社の代表者を証明する書類です。

法人の代表権が誰にあるかを証明する資料で、以下のような情報を記載しています。

  1. 法人番号
  2. 法人名称
  3. 主たる事務所
  4. 代表者の資格、氏名及び住所
  5. 代表者資格の証明を求められた場合は、代表者事項証明書を使用しましょう。

    現在の状況のみ記載する現在事項証明書

    現在事項証明書は法人の現在の状況を証明する書類で、以下の内容が記載されています。

    1. 法的に効力がある登記事項
    2. 法人設立日
    3. 取締役、監査等委員である取締役・会計参与・監査役・会計監査人の就任日
    4. 法人の商号、本店の移転登記などの変更事項で現在効力を持っている事項
    5. 効力がある直前の登記事項

    現在事項証明書は請求した日に登記してある情報を証明しているものです。

    履歴事項証明書と違い、抹消済みの情報は削除されている点に注意してください。

    履歴事項証明書

    履歴事項証明書は過去に使用していた登記簿抄本にあたる書類です。

    現在事項証明書に記載してある情報に加え、交付請求日から3年前の1月1日〜請求日迄の登記事項の変更記録が記載してあります。

    履歴事項証明書に記載されている情報は以下のような情報です。

    1. 法人所在地
    2. 法人名と法人番号
    3. 商号
    4. 本店所在地
    5. 公告方法
    6. 法人設立の目的や事業概要
    7. 発行可能株式総数と発行済株式の総数と種類、数
    8. 株券発行の定め
    9. 資本金額
    10. 株式譲渡制限の規定
    11. 役員についての事項
    12. 取締役会設置についての事項
    13. 監査役設置についての事項

    閉鎖事項証明書

    閉鎖事項証明書は、閉鎖した登記情報を証明するために用いられる書類です。

    法人の清算が終わり、解散した時の情報や、吸収合併の情報が確認可能です。

    本店の移転や業績悪化、後継者不在などで清算が完了し、会社が解散もしくは消滅すると登記は閉鎖されます。

    閉鎖事項証明書で証明しているのは、閉鎖時点で登記してある情報です。

    登記情報を電子化する前に閉鎖した法人の登記情報を知りたい場合には、閉鎖時点で本店があった場所を所管する法務局で取得できます。

    これらの証明書は、代表者や法人の関係者でなくとも取得が可能です。

    取得には何らかの資格を持つ必要はなく、押印も不要。手数料さえ払えば誰でも簡単に取得できるのが特徴といえるでしょう。

    履歴事項全部証明書の取得方法とは

    履歴事項全部証明書の取得方法とは

    履歴事項全部証明書を取得する場合には4つの方法があります。

    それぞれの取得方法について見ていきましょう。

    直接法務局へ出向き申請

    1つめの方法は法務局に直接出向き、窓口で申請を行う方法です。

    登記情報が電子化される前は、本店を所管している法務局まで出向いて申請しなくてはいけませんでした。

    しかし、電子化されたことで必要な情報が全国のどの法務局から申請しても取得可能になりました。

    法務局の申請受付時間は、平日の午前8時30分から午後5時15分までです。

    申請方法には2つあり、申請書を記入して請求する方法と、「証明書発行請求機」を使用して履歴事項全部証明書を発行する方法があります。

    申請書を使用する場合は、法務局に備え付けられている「登記事項証明書等交付申請書」に必要事項を記入し、1通あたり600円分の収入印紙とともに窓口に提出しましょう。

    証明書発行請求機による請求の場合は、証明書発行請求機に必要情報を入力し、整理番号が記された整理票を入手します。

    その後、窓口付近に設置されている収入印紙の購入窓口で1通あたり600円分の収入印紙を購入し、提出しましょう。

    オンラインによる請求

    法務局に出向かずとも、オンラインによって履歴事項全部証明書を取得することも可能です。

    オンラインによる請求は、登記・供託オンライン申請システムのホームページにある「かんたん証明書請求」から行ってください。

    まず、申請者情報を登録をし、請求する証明書を選択します。

    その後、証明書の請求に必要な項目の入力を行い、請求書を作成。

    送付先や受取人の情報には、あらかじめ登録した情報が自動的に反映されるので、何度も申請書を作成する手間が省けて便利です。

    オンライン請求した場合の履歴事項全部証明書の受け取り方法は2つあり、郵送もしくは最寄りの法務局で受け取ることができます。

    郵送による必要書類の提出

    郵送によって履歴事項全部証明書を取得する際には、以下の書類を同封して法務局に郵送します。

    1. 登記事項証明書交付申請書(法務局のホームページより入手可能)
    2. 印鑑カード
    3. 住所を記入した返信用封筒(切手貼付済みのもの)
    4. 600円分の収入印紙

    申請取得を代行するサービスの利用

    法務局に出向いて履歴事項全部証明書を取得する余裕がなかったり、オンラインでの手続きや郵送手続きができない場合には、代行サービスの利用も可能です。

    最短で当日発送によって履歴事項全部証明書を送付してくれます。

    履歴事項全部証明書のオンライン取得のメリット

    履歴事項全部証明書のオンライン取得のメリット

    履歴事項全部証明書のオンラインの取得サービスは、登記・供託オンライン申請システムのホームページで、「かんたん証明書請求」のページから行えます。

    参考:登記・供託オンライン申請システム

    オンライン取得のメリット2点を順に紹介しましょう。

    窓口で手続きするよりも手数料が安い

    かんたん証明書請求から履歴事項全部証明書を取得すると、窓口交付や郵送で交付請求する場合に比べて手数料が安くなります。

    通常、履歴事項全部証明書の発行手数料は600円ですが、かんたん証明書請求で取り寄せる場合、郵送交付の手数料は500円、最寄りの法務局で受け取る場合は480円と手数料が割引されるのです。

    手数料は、ネットバンクやATM(Pay-easy対応機種のみ)での支払いが可能。

    収入印紙をわざわざコンビニエンスストアや郵便局等で購入しなくても、その場で支払えるのもポイントでしょう。

    申請は平日21時迄に行い、待ち時間を短縮

    法務局に出向いて履歴事項全部証明書を取得する場合、業務時間内の平日8時30分〜17時15分に行かなくてはいけません。

    しかし、かんたん証明書請求は受付時間が長く、平日8時30分〜21時まで申請できます。

    日中忙しくとも、窓口に行く時間が取れなくても、自宅やオフィスで21時まで申請を受け付けてもらえるのです。

    急いで履歴事項全部証明書を取得したい場合、前日の21時迄に申請しておき、翌朝窓口に取りにいくこともできます。待ち時間もなく、スムーズに書類を受け取れるでしょう。

    取得手数料や申請受付時間について

    取得方法別の取得手数料や受付時間を一覧でご紹介いたします。

    区分取得方法手数料受付時間
    履歴事項全部証明書窓口請求600円午前8時30分〜午後5時15分
    郵送600円
    オンライン請求・郵送500円午前8時30分〜午後9時
    オンライン請求・窓口交付480円午前8時30分〜午後9時

    なお、郵送の場合、請求書(収入印紙を貼付したもの)と返送用の封筒(封筒に返信用の切手を貼り、返信先も記載しておく)を同封し、管轄の法務局(登記所)あてに郵送します。

    返信用切手代の目安は、1通:82円、2通:92円です。

    オンライン請求で午後5時15分以降に申請をした場合、法務局などの登記所での受け付けは翌業務日の午前8時30分以降です。

    さらに手数料の電子納付は受付後にしか納付できません。証明書の受け取りは電子納付後となりますので、タイムスケジュールに注意してください。

    急ぎでない場合にはオンライン申請もおすすめ

    履歴事項全部証明書の取得方法には大きく4種類ありますが、オンライン申請による取得はメリットが多く、おすすめの取得方法と言えるでしょう。

    窓口で履歴事項全部証明書の交付を受ける場合にも、事前にオンライン申請をしておくと申請書を書く手間が省け、待ち時間が短縮されるばかりではなく手数料が安くなるのでお得です。

    会社設立後におすすめの銀行法人口座開設!ネット銀行 / メガバンク / ゆうちょ銀行徹底比較

    【2023年版】経営者がおすすめの会社設立後の銀行法人口座開設!ネット銀行 / メガバンク / ゆうちょ銀行徹底比較

    2021年7月18日
    株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の会社形態の特徴と違いについて

    株式会社、合同会社、合名会社、合資会社の会社形態の特徴と違いについて

    2021年6月14日
    銀行の法人口座開設に必要な書類と持ち物をポイント付きで詳しく解説

    銀行の法人口座開設に必要な書類と持ち物をポイント付きで詳しく解説

    2021年5月26日
    法人の印鑑登録証明書の取得場所と費用とは?オンライン、コンビニや土日でも可能か

    法人の印鑑登録証明書の取得場所と費用とは?オンライン、コンビニや土日でも可能か

    2021年5月21日
    MBA専門の転職・人材サービス MBA JOBs

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUTこの記事をかいた人

証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2016年10月より独立。2017年7月株式会社Milkyways設立、代表取締役CEO。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻(WBS)修士課程卒。専攻はベンチャー企業論、ベンチャー経営論。趣味はダンスとラーメン。