海外、特に アメリカ の スタートアップ企業 では、未上場で 企業価値 が10億ドル ( 約1,100億円 ) 以上の評価額に達する ユニコーン と呼ばれるような企業も少なくありません。
例えば、配車アプリの Uber ( ウーバー )や 民泊仲介 の Airbnb ( エアービーアンドビー )などのように日本でもよく知られている企業も複数ある一方で、日本ではそれほど話題になっていない ユニコーン 企業も数多くあります。
本記事では 、 2018年 に注目の 米系 / アメリカ の スタートアップ ・ ユニコーン 企業 まとめ 7社をご紹介させていただきます。
目次
ユニコーン 企業 世界ランキング10
ユニコーン 企業 とは、企業価値が 10億ドル (約1,100億円)以上で、未上場のスタートアップ企業を指します。元々はベンチャーキャピタルの カウボーイ・ベンチャーズ の創業者が使い始めたといわれています。
ちなみにアメリカではベンチャー企業とはあまり呼ばず、ベンチャーというとベンチャーキャピタルのような投資サイドを指すことが多いです。
Facebook や Twitter なども ユニコーン 企業 と呼ばれていましたが、上場したためにユニコーン企業からは卒業しています。
Forbes によると、ユニコーン企業の世界ランキングは以下のようになっているとのことです。全て米国と中国の企業ということがわかります。
1位 : Uber / 米国 / 680億ドル
2位 : 滴滴出行 / 中国 / 500億ドル
3位 : 小米科技 / 中国 / 460億ドル
4位 : 美団大衆点評 / 中国 / 180億ドル
5位 : Airbnb / 米国 / 293億ドル
6位 : SpaceX / 米国 / 212億ドル
7位 : Palantir Technologies / 米国 / 200億ドル
8位 : WeWork / 米国 / 200億ドル
9位 : Lu.Com / 中国 / 185億ドル
10位 : Pinterest / 米国 / 123億ドル
参考 : Forbes 「世界10大ユニコーン」に中国企業が4社、ランク入り
上記のように、ユニコーン企業の中でも企業価値が100億ドル(約1.1兆円)以上の企業のことを、 デカコーン ( decacorn )と呼ぶこともあります。
デカコーンは日本語のデカイではなく、10や10倍を表す英語の「 deca 」から来ています。デカコーンは今のところ世界的に見ても数えられる程度しかありません。
では以下より日本ではあまり馴染みのない企業もあるかもしれませんが、注目のユニコーン企業をご紹介させていただきます。
SoFi / ソフィー
参考 : SoFi
日本でも奨学金を借りて進学する学生は多いですが、アメリカでも多くの学生が大学の学費の支払いのためにローンを組み、負債を抱えた状態で大学を卒業するということが大きな社会問題となっています。
ちなみに僕も月に24,000円ずつくらいの 奨学金返済 がまだまだ続きそうです・・。
理由としては、アメリカの学費は日本と比較しても非常に高く、私立大学の学費平均は 2万ドル ( 220万円 )以上に。
日本の私立大学の学費は100万円程度の大学が多いので、倍程度の学費となります。
画像引用 : BUSINESS INSIDER 日本は高い? 大学の授業料が世界で最も高いのはアメリカ —— OECD調べ
その中でも トップ有名私立大学 は学費が非常に高く、 ハーバード大学 や スタンフォード大学 、 ニューヨーク大学 、 シカゴ大学 などは年間の学費が 500万円程度 とも言われています。
SoFi は2011年に スタンフォード大学大学院 の同級生4人によって設立された会社で、学費を借りたい学生と卒業生を結びつける個人間の 融資プラットフォーム ( ソーシャルレンディング )を提供し、低金利な 学生ローン の提供を実現しました。
今では、学生ローンだけでなく、住宅ローンや個人ローンにまでサービスを拡大しています。
多くの Fintech スタートアップ 同様に、従来の金融機関と比べてサービスの使いやすさ、 効率性 、 透明性 と言った部分を磨き上げており、従来長時間かかっていたローンの審査も SoFi では最短2分でローンの利率を提示可能とのこと。
2015年9月には シリーズE で ソフトバンク をリードとして10億ドルを調達(当時副社長だった ニケシュ・アローラ 氏も関わっていた)し、さらに2017年の シリーズFでは 5億ドル を調達しています。
オーストラリアでは Higher Eduction Loan Programme(HECS-HELP)という高等教育ローンプログラム制度があり、卒業後に課税所得が約500万円を超えてから、課税所得に応じて年間4〜8%程度の返還率で返済する制度もあります。
今後も教育に関するニーズと合わせて奨学金への関心度も高く、マーケットも大きいことから期待の高さが伺えます。
日本でもFintechスタートアップが増えてきているが、それによって金融サービスがどのように変化していくかを占う上でアメリカのFintechをリードするスタートアップ企業の動向に注目。また、学生ローンをはじめとした巨大なマーケットに対するイノベーションということで、スケールの可能性があると考えられます。
Robinhood / ロビンフッド
参考 : Robinhood
Robinhood は、2014年12月にサービスの提供が開始された米国の上場株やETFを手数料無料で購入できる モバイルアプリ を提供するFintech企業です。
スタンフォード大学 でルームメートだった Vladimir Tenev と Baiju Bhatt が設立をしました。
プレミアム版に当たるRobinhood Goldでの月額課金と、ユーザーのアカウントに蓄えられている資金の利回りでマネタイズをしています。
従来の証券会社のように、店舗を持たずアプリ上での取引にフォーカスすることや、アナリストを抱えないことで既存プレイヤーと比べてオペレーションコストをおさえています。
直近では、2017年4月のシリーズCで1億ドルを調達しています。
日本でもネット証券の登場で個人投資家の売買が急増したが、その後は仮想通貨の取引所以外真新しいサービスが登場していません。ネット証券以来のインパクトを残せるかに注目。
Compass / コンパス
参考 : Compass
Compass はニューヨーク発の 不動産テック ( 不動産とITを掛け合わせたサービスを提供すること )の スタートアップ です。
物件を売りたい、もしくは貸したい 不動産仲介エージェント と、物件を探す消費者それぞれに対して、物件の売り買いや貸し借りを効率的に行うためのアプリを提供しています。
また、アプリの提供だけでなく、実際に 不動産仲介エージェント を抱えるモデルをとっており、そのエージェントの業務を支援する形でデータやアプリケーションも提供しています。
家を探す個人向けにも直感的で使いやすいアプリを提供しており、 Webサイト を見るとわかる通りに写真のクオリティにもこだわりがあると言えるでしょう。
共同創業者兼会長の Ori Allon は Twitter や Google に会社を売却した経験を持つシリアルアントレプレナー。
共同創業者兼CEOの Robert Reffkin は元 ゴールドマン・サックス 出身というコンビも注目の理由として挙げられるでしょう。
2012年の創業後急速に会社を成長させ、直近では、2017年12月の シリーズE で ソフトバンク ( SoftBank Vision Fund )より4.5億ドルを調達しています。
ソフトバンクのグローバルに渡る投資意欲とROIはとんでもないと言えますし、ソフトバンクの投資先を見て調べるだけでも、最近の兆候を学ぶことができるのではないでしょうか。
日本でもイタンジ、iettyといった不動産テックのスタートアップ企業が資金調達を行なっており、今後注目が集まる業界とも言えるでしょう。
参考 : イタンジ
創業者のバックグラウンド的に期待度が高いです。また、金融同様に比較的アナログ業界である不動産業界がモバイル、データの活用でどう変わっていくか、他の不動産テック企業とどのように差別化していくかに注目をしています。
Essential Products / エッセンシャル プロダクツ
Essential Products は スマートフォン と スマートスピーカー を製造するスタートアップ企業です。
創業者兼CEOの Andy Rubin は スマートフォンOS の Android の生みの親と呼ばれる人物で、 Google への Android Inc の売却を経験しています。
2017年には最初のプロダクトであるハイエンドの Android端末 Essential Phone を発表しました。
内蔵マグネットで充電ドックやカメラを接続できるなど、最先端の機能が話題を呼びましたが、ふたを開けてみると、リリースの遅延や、ソフトウェアの問題などもあり、期待はずれとの声も上がっています。
しかし、2017年6月の シリーズB では 3億ドル を調達し、現在は スマートスピーカー の開発を行っているようです。
ソフトウェアではなく、ハードウェアのテック系企業ということで個人的にも興味がある会社の一つです。
創業者のバックグラウンド的に期待度が高い企業でAIの開発にも注力していると言われていましたが、残念ながら2020年に廃業となったようです。
Letgo / レッツゴー
参考 : Letgo
Letgo ( レッツゴー )はアメリカで メルカリ の競合にあたるC to Cフリマアプリです。
メルカリ と大きく異なる点として、 Letgo は商品の掲載までしか行っておらず、決済や配送に関与していません。日本で近いモデルとしては、 ジモティー や メルカリ アッテ が挙げられます。
モバイルでのやりとりのしやすさにフォーカスしており、AIによる写真認識で自動で商品タイトル付けやカテゴリ分類を行う機能、チャットでのコミュニケーション機能を備えています。
その他にも位置情報を取得して近隣ユーザーのタイムラインに商品が表示される仕様で、郵送だけではなく直接やり取りするタイプの売買に関する機能があることが特徴です。
2015年の創業後急速に成長し、2016年にはスペインの マーケットプレイス Wallapop の米国事業買収などで更に規模を拡大。2017年9月にはアプリが 7,500万DL を達成しています。
調達面では、2017年1月の シリーズB で Naspers や Accel 、 Insight Venture Partners などから 1.75億ドル を調達しています。
モバイル C to C のマーケットプレイスでどこが生き残るのか、 グローバルで メルカリ との競争も含めて注目。 日本企業としてメルカリにも頑張ってもらいたいところです。
Invision / インビジョン
参考 : Invision
Invision は プロトタイプ の作成やWebデザイン、その際のチーム内のコラボレーションを効率化するためのツールを提供しています。
フォーチュン100 に入るような大企業から、 Uber 、 Airbnb のような急成長スタートアップ企業にも導入されています。
これまで Invision は プロトタイピング や コラボレーション 、 プロジェクト管理 の機能を提供し、基になるデザインは別のツールで制作する必要がありましたが、今後 Invision Studio という新プロダクトで、デザインを作る部分にも進出していく模様です。
2015年の シリーズC で 0.45億ドル 、2016年の シリーズD で 0.55億ドル 、2017年の シリーズE では 1億ドル と順調に資金調達を行い、複数のスタートアップを買収しながらチームとプロダクトを強化してきています。
使い勝手の良さからアメリカではかなり導入が進んでいるが、新プロダクトの InVision Studio がどのようなものになるか期待度が高いようです。また、デザイン関連で確固たるポジションを持つ Adobe の製品群とどう戦っていくのかも注目。
Afiniti / アフィニティ
参考 : Afiniti
Afiniti はコールセンターに問い合わせた顧客に対して、適切なオペレーターや営業担当をマッチングさせるAIソリューションを提供しています。
電話番号を元にして、データベース上で顧客情報を検索。データベースから過去の購買情報、収入などを検索することができ、Facebook や LinkedIn のようなSNSの情報も取得できるようです。
Afiniti が保有する情報に基づき顧客セグメントを判別し、契約を結ぶことができる可能性が高い担当者とのマッチングをAIが行って電話を転送するよう設計がされています。
大規模なコールセンターを持つ企業に対してサービスを提供しており、導入によって得られた増加利益の一部をレベニューシェアで受け取るという独特な収益モデルをとっています。さらにハードウエアやソフトウエアの導入コストを全額Afinitiが負担するという。
設立は2006年と最近ではないのですが、2013年以降に資金調達をしており、2017年4月のシリーズDでは0.8億ドルを調達、近々IPOをするという話も出ているようです。
2017年にはAfiniti Japanも設立されたようで、日本での事例も増えてくるかもしれません。
テクノロジーとビジネスモデルの独自性がユニークであると感じています。また、地味に見えるカスタマーサポートの領域ですが、 Zendesk の成功にも見られるように巨大なマーケットのため、今後の成長に注目しています。
安定した景況感の元で、今後も ユニコーン 企業 の増加を予測
上記で取り上げた企業の他にも米国では日本で見られないような非常に大規模な資金調達を行なっているスタートアップが多数存在しています。
取り上げた企業の事業領域やモデルは様々ですが、不動産や金融、ECといったマーケットが大きい業界に対して、モバイルやAIで変革を起こしていくという事業には引き続き大きな可能性が見込まれているようです。
日本での ユニコーン 企業 は メルカリ が取り上げられることが多いですが、今後日本企業が増加していくためには早いうちからグローバル展開を見据えたグロースが必要でしょう。
しばらくは世界的に安定した景況感の元で、今後も ユニコーン 企業 が出てくる可能性が高いと予測しています。
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