会社を設立した際には様々な手続きや申請を行わないといけませんし、営業を行う必要もあるかもしれませんが、法人の銀行口座の開設も行う必要があります。
法人口座がないと取引先とのお金のやりとりや信用性に影響が出てしまう場面も出てくるかもしれません。
法人の銀行口座を開設するには個人の口座開設と比べても審査が厳しく、時間がかかってしまうことも多いです。
今回は、会社設立時の銀行口座開設について審査基準や準備する書類を解説いたします。
目次
個人口座と法人口座の違い
個人口座と法人口座の違いについて見ていきましょう。
個人で普通預金の銀行口座を作ろうと思った場合、窓口に行ったりネットでお申し込みをすれば基本的には誰でも口座を作ることが可能です。
場合によっては本人ではなく、親が子供の口座を開設することも簡単に出来ます。
一方で法人の銀行口座を開設する場合には法人であることを証明するための書類が必要となります。
また、法人では倒産してしまう割合が個人の破産よりも多く、振り込め詐欺や反社会的組織との関わりを行っていないかどうかと言った審査も行わないといけません。
普通預金と当座預金の違い
一般的には普通預金で口座開設をすることが多いですが、当座預金との違いについても抑えておきましょう。
当座預金は小切手や手形での決済ができる預金のことで、決済用の預金として利用されることが多いです。
特徴としては利息が一切付かない代わりに、仮に銀行が破綻してしまったも全額が保護対象になります。
普通預金はペイオフで1銀行あたり1,000万円までしか保護対象とならないため、ここが大きな違いとなるでしょう。
製造業などの大企業ではお金の出し入れが多いこと、取り扱う金額が大きくなるために当座預金を利用していることも見受けられますが、会社設立時の法人口座であれば普通預金で十分だと思います。
法人の銀行口座の開設に必要な書類
銀行によっても多少違いがありますが、法人の銀行口座の開設に必要な書類は以下の通りです。
- 各銀行の申込み書類
- 全部事項証明書 ( 登記簿謄本 )
- 法人印鑑 ( 銀行印 、 会社実印 )
- 法人の印鑑証明書
- 株主名簿 ( 出資者名簿 )
- 会社定款
- 会社のマイナンバー ( 法人届出番号 )
- 会社がわかるもの(サイト、パンフレットなど)
- 代表者の本人確認証明書
開設したい銀行のサイトを事前に確認して準備をしておきましょう。
私の場合は株主名簿、会社定款は不要でした。
銀行が法人口座の開設で見ている審査のポイント
法人口座を作成する際、銀行はどのような部分を見ているのでしょうか。
基本的には銀行として口座を開設する際に、企業や代表者の信頼性があるかどうかと会社としての実態があるかが重要となります。
資本金の金額はどの程度か
以前は株式会社の資本金は最低1,000万円、今は無くなりましたが有限会社では300万円以上が必要でした。
商法改正によって2006年4月から資本金の制限が撤廃となり、株式会社や合同会社で資本金が1円でも起業が可能となりました。
ただし、資本金は会社の資本力や体力を示すものとして見られますので、特に会社設立間際では資本金を気にする銀行は間違いなく多いです。
あまりにも低い資本金では信用性が損なわれる場合もありますので注意しましょう。
登記の住所がオフィスか自宅か
登記の住所がバーチャルオフィスやシェアオフィスのように登記上の住所にオフィスがない場合や、自宅をオフィスとして利用しているのかは審査で見られるポイントの一つです。
オフィスを借りるというのはそれなりに費用と信用性が必要になるため、銀行としても審査においてプラスとなります。
また、固定電話がないと申し込みが出来ない銀行もありますので事前に確認しておきましょう。
ネットバンキングでは残念ながら楽天銀行と住信SBIネット銀行は固定電話以外の申し込み入力ができませんので、携帯電話でも口座開設のお申込みが可能なGMOあおぞらネット銀行かジャパンネット銀行でお申込みするという選択肢となります。
事業内容が明確か
会社の定款に記載している事業が不明瞭な場合や事業が定まっていないような場合は、会社の実態が掴みにくいため口座開設を断られてしまう場合が多いです。
「どのような事業内容の会社か」ということをある程度明確に示して説明できる必要があります。
これは銀行の担当者の方も行っておりましたが、口座開設において会社の実態がしっかりとあること、確認できることが非常に重要です。
会社の実態を示すためにも独自ドメインのホームページや、場合によってはパンフレットや会社紹介資料なども事前に用意しておいた方がよいと思います。
特にネット銀行の場合には面談がないため、サイトや各種資料で実態がわかるようにしておきましょう。
法人口座の開設をする際のポイント
法人口座の開設をする際に事前に気をつけておきたいポイントについて見ていきましょう。
事業内容の説明の準備をしておく
メガバンクや地銀のような店舗がある銀行での法人口座の開設では担当の方と面談を行うことが多いです。
その際に事業内容の説明を求められる場合があります。
融資とは違って詳しい事業計画の説明を求められることはありませんが、会社について事業内容を明確に説明できるように準備しておきましょう。
なお、ゆうちょ銀行では必要書類を出すだけで面談はありませんでした。
- 会社の主な事業内容は何か(複数ある場合は優先付けも必要)
- どのような事業計画で事業を行っているのか
- なぜこの事業をやるのか
- 法人口座開設の目的は
- 会社の実質的支配者は誰か(株主が複数いる場合)
口座開設には代表者が出向く必要がある場合が多い
実店舗がある場合には銀行に会社の代表者が口座開設の申請をしに行くことが多いです。
時間に余裕があるうちに行っておいた方が良いでしょう。
三菱UFJ銀行の場合には面談の予約が必要で、私の場合2週間程度先の日程しか空いてませんでしたので事前に確認しておきましょう。
法人口座の開設には時間がかかる
個人の銀行口座の場合には当日に口座と通帳の発行が可能な銀行もありますが、法人の場合には審査にも時間がかかるためすぐには開設ができません。
会社を設立してすぐの場合には、登記してから履歴事項全部証明書(登記簿謄本)の発行に2週間程度かかる場合も多く、少し時間に余裕を持っておいた方が良いと思います。
概ね会社設立から1ヶ月ほどで法人口座を開設することができます。
銀行の法人口座を開設するまでにかかる時間は大きく分けると銀行の種類によって異なりますので、以下の順に開設時間が違っています。
銀行の種類 | 開設までの時間 |
---|---|
ネット銀行 | 1週間〜2週間程度 |
ゆうちょ銀行 | 2週間程度 |
地銀・信用金庫 | 2〜4週間程度 |
メガバンク | 1ヵ月程度 |
その中でも特にGMOあおぞらネット銀行はweb上から口座開設申し込み書類などのアップロードを行うことができるため、順調にいけばネット銀行の中でも一番早く口座開設が可能です。
僕も写真のように法人口座を開設しましたが、申し込みからカードが届くまで大体1週間程度でした。
すぐに法人口座を開設したいという方には一番おすすめと言えるでしょう。
ネット銀行の中でも一番振込手数料が安く、固定電話が不要で申し込みができるのも会社設立間際にはありがたいポイントです。
より詳細にGMOあおぞらネット銀行についてご確認したい方は、以下の記事もオススメです。
メインバンクの選び方と付き合い方
会社のメインバンクを選ぶ際には通いやすい距離に店舗があることや、入出金のしやすさなどを考慮して決めることが多いです。
ネットバンクは簡単に利用が出来るため入出金において非常に便利ですが、借入に対応していないことや手続きによってはネットバンクで対応していないケースもありますので、メガバンクとネット銀行と複数の種類の銀行に申し込みを行った方が口座開設のリスク分散にも繋がるためおすすめです。
メガバンクや地銀のネットバンクはネット銀行と比べると非常に使いにくく、Macに対応していない場合も多いためネット銀行を一つは持っておいた方が良いと思います。
法人の銀行口座開設完全ガイド
銀行の法人口座開設は年々審査が厳しくなっているのが実情です。
そのため、法人口座を開設するためには銀行口座開設の目的と事前準備をしっかりと確認しておき、戦略的に行うことがおすすめです。
実際に私が法人口座を開設した経験を踏まえて参考になりそうな記事をまとめてみましたので、ご関心ありましたら参照いただければと思います。
事前に準備を行っておき、少し余裕を持った開設を
銀行口座の開設は会社として認められることにもなりますので、事前に必要書類の準備を行っておき、時間に少し余裕を持って開設をした方が良いでしょう。
書類の不備で開設まで時間がかかってしまうことや、審査に落ちてしまうケースもありますので、申込する銀行のサイトや必要があれば電話などで確認することもおすすめです。
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