会社を設立した後に銀行の法人口座を開設する場合、法人口座の開設には一定の審査基準があり個人口座よりも厳しいと言われております。
さらに銀行の法人口座の開設が年々厳しくなっているなか、資本金は数万円で会社の連絡先は携帯電話という厳しい条件にも関わらずメガバンク、ネット銀行で法人口座の開設ができたという例もあります。
今回は銀行の法人口座開設に必要な資本金と審査基準についてご紹介いたします。
目次
銀行の法人口座の審査基準と断られやすい基準とは
法人口座を作成する際、銀行は企業のどのような点を見ているのでしょうか。
もちろん銀行としても法人口座を増やして融資や法人取引に繋げた方が売上にもなりますしありがたいはずですが、全ての企業からの法人口座の申込を受理しているわけではありません。
銀行側が法人口座を開設するためには企業や代表者の信頼性があるかどうかが重要となります。
法人口座の審査が通らずに断られやすい理由は以下が挙げられます。
資本金額が低い
昔は資本金が1,000万円以上でないと株式会社を登記することはできませんでしたが、商法改正によって2006年4月から資本金の制限が撤廃となり、「1円起業」が可能となりました。
しかし、資本金があまりにも低い金額で設立した会社は社会的信用を得られにくい場合もあります。
低い目安は業種や金融機関によっても異なりますが、最低でも100万円くらいは資本金を準備しておいた方がよいでしょう。
資本金が少なくても法人口座を開設するためのポイントについて後述いたします。
事業内容がわかりにくい
最近は僕の会社も含めて横文字系の会社名が多く、社名を聞いただけで何をやっているのかわからない会社も多いです。
そのため、どのような事業内容の会社かということをある程度明確に説明しておいた方が良いでしょう。
会社の実態を示すためにも独自ドメインのホームページや、場合によってはパンフレットや会社概要資料なども事前に用意しておいた方が便利です。
登記住所が自宅やバーチャルオフィス
オフィスの実態があるかどうかは法人口座の審査で銀行が注視するポイントの一つです。
法人口座開設申し込み時に提出する書類の一つに全部事項履歴証明書(登記簿謄本)がありますが、法人登記されている住所が自宅やバーチャルオフィス、シェアオフィスの場合には信用性が高いとは言えなくなります。
オフィスを借りるというのはそれなりに費用が必要になるため、銀行としても審査においてプラスとなりやすいです。
ただ、最近ではWeWorkのようにやや高めのシェアオフィスも登場していて昔と比べると影響度合いは小さくなっているとは考えられます。
固定電話がなく携帯電話
業種にもよるもののわざわざ固定電話を最初から契約する企業は多くはないのですが、銀行としてはいざという時に連絡が取れなくなることを恐れていたり、昔の名残もあるようで信用性について担保ができないと判断されることにも繋がりかねないようです。
店舗ビジネスなどでない限り、固定電話を持つメリットがあまりないことも多く、無理して持たなくても良いかと思います。
メガバンクのように口座開設の際に面談があるような場合には、携帯電話でもしっかりと連絡が取れるということを伝えておいた方が良いかもしれません。
資本金が少なくても銀行口座を開設するためのポイントとは
資本金が少ないと法人口座の開設に不利になる可能性があるとご紹介しましたがここで諦めてはいけません。
資本金が少なくても銀行口座を開設している企業もありますし、僕もそのうちの一社になると思います。
それでも以下のように最も難しい可能性もあるメガバンクの三菱UFJ銀行(作ったのが少し前なので三菱東京UFJ銀行になっています)で口座を開設できました。
メガバンクで法人口座を作る際のコツ
メガバンクでは申込書類を提出するととともに、自己紹介やなぜこの事業をやるのかといった面談が必要な場合があります。
僕が三菱UFJ銀行で口座開設をした際には子会社の三菱UFJフィナンシャルパートナーズの方と1時間くらいの面談がありました。
メガバンクだけではなく地銀や信用金庫なども面談がある場合が多いようです。
社名や代表者名を元に、ある程度事前にネットで情報を調べているようで僕のことも経歴などを把握していました。
- 代表者の経歴
- 代表者の評判
- 代表者のSNS
といったことも見ているとのことです。
銀行の口座開設時に注意しておきたいのがSNS関連で、ふざけた投稿が多ければ削除するか、友人以外は見れないようにするなどあらかじめ対策を必ずしておきましょう。
若い時の投稿や酔っ払ってアップしたものが意外と残っていたりする可能性もありますので、一度確認しておくことがおすすめです。
僕が面談していただいた方から聞いた話ですと、意外にも2チャンネルなどの掲示板も見ているようで、信憑性は別としてあまりにも悪い書き込みが多いと口座開設の審査に影響が出るようでした。
面談でしっかりとした対応をすることで、法人や代表者個人としても担当の方に良い印象を与えることができますので、法人口座で断られる理由として挙げた項目についてスコアリングが悪くても諦めずに頑張りましょう!
さらに会社設立間際でまだ知名度や信用度が高くない場合に 法人口座 を 開設する際 の 重要 な コツ が、「 会社名の入った書類は多ければ多いほど良い 」ということです。
僕の場合は会社を設立してから少し時間が経ってから口座開設の申込をしたこともあり、
- 取引先への見積書
- 取引先への請求書
- 自社宛の請求書
- 取引先との契約書
を銀行担当の方に送りました。
特にこの中で取引先への請求書は売上があるという証拠にもなりますので、審査においてプラスとなる要素ではないでしょうか。
会社設立間際では上記のような書類がまだ用意できない可能性もありますので、緊急性が高くなければしばらくは個人の銀行口座でやり取りを行い、取引で見積書や請求書ができる段階になってから法人口座を開設した方が、審査を通過できる可能性が高まると考えられます。
法人口座を開設する銀行に、既に個人口座があると有利になりやすい
法人口座を開設する銀行に代表者が個人名義の口座を持っている銀行だと有利になりやすいという話を聞いたことがあるかもしれません。
法人としては初めての口座開設ですが、個人口座を持っていると預金残高や過去のお金の取引がわかるために法人口座を作りやすいと言われています。
実際僕も三菱UFJ銀行の同じ支店に個人口座を長年持っていて、会社員時代の給与振込なども行っておりました。
また、メガバンクに知り合いがいると口座開設の際に有利になるという話も聞いたので実際に僕も連絡をしてみたのですが、融資の際に担当者を紹介してくれて話を通しやすくしてくれる可能性はありそうなものの、口座開設はそこまで影響がないようです。
ネット銀行で法人口座を作る際のポイント
ネット銀行の方がメガバンクと比べて振込手数料が安く、口座維持手数料もかからない場合が多いため一つは持っておいても良いでしょう。
ただ、ネット銀行は面談がないので法人口座を作る際に審査基準が緩いと思われがちですが、そうとも言い切れませんので注意しておきましょう。
なぜかというとネット銀行の場合には上記でご紹介した面談がない分、会社としてスコアリングが悪いと挽回の余地が無いからです。
ちなみに僕は2社ネット銀行の申込を行いましたが、1社は通ったものの1社は落ちてしまいました。
ネット銀行で審査時に提出する代表的な書類は以下の5点となります。
これらの提出書類はネット銀行によって若干異なりますが、概ね下記書類の提出を求めているところが多いです。
1、 法人のビジネス口座開設申込書
2、 全部事項証明書 ( 登記簿謄本 )
3、 本人確認資料(運転免許証、住民基本台帳カード等)
4、 事業実態を確認できる資料(ホームページ、各種契約書等)
5、 法人ビジネス口座開設申込委任状兼実質的支配者に関する届出書
また、ネット銀行の場合には固定電話がないとそもそも口座開設の申し込みができないところもあり、楽天銀行と住信SBI銀行は申し込み自体できません。
ネットバンキングでは残念ながら楽天銀行と住信SBIネット銀行は固定電話以外の入力ができませんので、この後ご紹介するGMOあおぞらネット銀行は携帯電話でも申込みが可能のためおすすめです。
僕が口座開設できた銀行について
気になる方も多いかと思いますが、法人口座の審査が比較的柔軟な銀行はあるのでしょうか。
一概には言えないのでここでは僕が口座開設できた銀行についてご紹介いたします。
三菱UFJ銀行
上記でご紹介した通り意外にも三菱UFJ銀行は口座開設が出来ました。
支店数も多いですし、どこのメガバンクで口座を作るか迷った際にはおすすめです。
個人口座が既にあるとさらに心強いと思います。
GMOあおぞらネット銀行
ネット銀行では固定電話がなくても申し込みができるGMOあおぞらネット銀行がおすすめです。
GMOあおぞらネット銀行はweb上で口座開設書類の提出が出来て口座開設が早いこと、ネット銀行の中でも振込手数料が一番安いこと、新しいネット銀行ということで積極的に法人口座の開設を行っていると予想されることもポイントです。
下記の画像がログイン後の画面でUI、UXについてメガバンクなどと比べてもシンプルで使いやすいデザインと言えるでしょう。
今のところ使い勝手が悪いと感じているところはありません。
より詳細にGMOあおぞらネット銀行についてご確認したい方は、以下の記事もオススメです。
ちなみに私の会社で利用している様子をGMOあおぞらネット銀行さんの導入事例として追加いただきました。
ゆうちょ銀行
実は銀行の中で意外と見逃せないのが ゆうちょ銀行 です。
ゆうちょ銀行は支店数も多いですし、法人口座はインターネットバンキングが無料で使えるというのもメリットとして大きいです。
面談も不要で書類だけ出せば後は結果が送られてきますので、預け入れ上限が1,300万円という制限がありますが設立間際の会社としては十分かもしれません。
その他に地銀や信用金庫の場合には地域の企業を応援するというミッションがあるため比較的審査が緩いという声もあります。
支店やATMが少ないというデメリットもありますが、自宅や会社の近くにある場合には検討してみても良さそうです。
メガバンク、ネット銀行、ゆうちょ銀行についてもう少し詳しくまとめた記事もありますので、興味があればご参照ください。
法人口座の審査が断られた場合の対応
審査で気をつけたいポイントを踏まえた上で法人口座に申し込んだとしても残念ながら審査に落ちてしまう場合もあります。
法人口座の審査が落ちて開設が断られた場合の対応について見ていきましょう。
他の銀行に申し込んでみる
一つの銀行に落ちてしまってもまだ諦めるのは早いです。
銀行の審査基準は共通点も多いですが、メガバンク、ネット銀行、地銀など銀行の形態によっても異なりますし、その中でも独自の審査基準を設けている場合もあります。
まずは優先順位をつけた上で申し込みを行ってみるのが良いと思いますが、もし落ちてしまった場合でも一旦他の銀行に申し込んでみることを検討してみましょう。
落ちた理由を考えて対処する
落ちた理由で見当がつきそうなものがあれば対処することも重要です。
独自ドメインのサイトがなければ作成してみた方が良いですし、業務内容が分かりにくければパンフレットを作成して担当者に渡すのも効果的かもしれません。
少し時間をあけてみる
緊急に法人口座が必要なければ少し時間をあけてみてから申し込みを行うことも一つの手段です。
その間に売上が上がれば信用性が高まることにも繋がりますし、利益が出れば増資を行うことも検討してみましょう。
同じ銀行の場合には少なくとも半年、出来れば一年くらいは開けた方が良いと思いますが、他の銀行の場合には3ヶ月などもう少し短くても良いと思います。
法人の銀行口座開設完全ガイド
銀行の法人口座開設は年々審査が厳しくなっているのが実情です。
そのため、法人口座を開設するためには銀行口座開設の目的と事前準備をしっかりと確認しておき、戦略的に行うことがおすすめです。
実際に私が法人口座を開設した経験を踏まえて参考になりそうな記事をまとめてみましたので、ご関心ありましたら参照いただければと思います。
資本金が少なくても諦めずに審査基準を抑えて対策をしておこう
資本金が多い方が法人口座の審査にはプラスになると予想されますが、すぐに準備をするのが難しいこともあると思います。
その際には資本金が少なくても諦めずに審査基準を抑えて対策をしておくことで開設の可能性を高める努力をしてみましょう。
法人の銀行口座は個人と違って審査があるため開設まで時間がかかることが多くネット銀行では1週間から2週間程度、メガバンクの場合には概ね2週間から1ヶ月程度は見ておいた方が良いと思います。
1つの銀行だけだと断られてしまうこともありますので、できればメガバンクとネット銀行など別の組み合わせで複数開設申し込みをすることがおすすめです。
一度審査に落ちてしまってもしばらくしてから再度申し込みをすることもできますので、あまり気張らずに申し込みをしてみても良いでしょう。
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