法人口座でネット銀行を使うメリットとデメリット、メインバンクとして利用は可能?

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法人口座でネット銀行を使うメリットとデメリット、メインバンクとして利用は可能?

法人や口座を作ろうと思った場合、ネット銀行(ネットバンク)を候補として挙げる方も多いのではないでしょうか。

金利の高さや手軽さで注目されているネット銀行ですが、メガバンクなどの普通銀行とどこが違うのか知っておくと便利です。

今回は法人口座でネット銀行を使うメリットとデメリット、メインバンクとして利用は可能かどうかについてご紹介いたします。

普通銀行とネット銀行の違いとは

まずは普通銀行とネット銀行の違いについて見ていきましょう。

普通銀行とは

普通銀行とは銀行法4条1項にある内閣総理大臣の免許を受けて銀行業を営む企業のことです。

預金を主な資金源として企業や住宅ローンを中心に資金の貸し出しを行っており、手形取引、為替取引、投資銀行(Investment Bank)業務などを行っている場合もあります。

普通銀行では三菱UFJ、三井住友、みずほ銀行などのように大都市に本店を置き、全国各地に支店を持つ都市銀行(メガバンク)と、地方都市に本店を置おて限られたエリアに密着して営業をしている地方銀行があります。

普通銀行は多くの方がイメージしている店舗があって窓口があるような銀行のことで信託銀行も含まれていますが、信用金庫は特別法により預貯金の受入れを業とする協同組織形態の金融機関として普通銀行の中には入らないようです。

もちろん信用金庫でも法人口座を作ることも可能ではあります。

ネット銀行とは

ネット銀行は上記の実店舗がある銀行とは異なり、支店や自前のATMを持たないインターネットを中心とした取引が主体の銀行になります。

ネットバンクやオンラインバンクとも呼ばれており、個人口座として利用している方も多いのではないでしょうか。

提携金融機関やコンビニエンスストアのATMで入出金ができますが、法人口座でも預金通帳はありません。

普通銀行のネットバンキングとネット銀行の違い

普通銀行のネットバンキングとネット銀行の違い

上記では普通銀行とネット銀行の違いについて見ていきましたが、続いて普通銀行のネットバンキングとネット銀行の違いについても見ていきましょう。

普通銀行のネットバンキングは対面取引を行う支店とは別でインターネットでやりとりが出来るサービスです。

ただし、あくまでも対面取引の補助程度に考えておいた方が良く、手数料もネット銀行と比べると高いですし、法人口座の場合には毎月利用料がかかることも把握しておきましょう。

例えば三菱UFJ銀行のインターネットバンキングのBizSTATIONは月額1,760円、三井住友銀行は月額2,200円、みずほ銀行は3,300円がかかります。

上記の画像は三菱UFJ銀行のインターネットバンキングのMac画面ですが、デザイン的に使いやすいとも言えないです。

ネット銀行で法人口座を作るメリットとは

ネット銀行で法人口座を作るメリットとは

店舗や自行のATMを持たないネット銀行ですが、その分人件費や家賃が少なくて済むため、経費率が低く抑えられているのがポイントです。

ネット銀行を利用すると、それを生かした以下のメリットを享受できます。

手数料が普通銀行よりも安い

ネット銀行は店舗や自前のATMを持たない分人件費や家賃が少なくて済むため、手数料が普通銀行よりも安くなります。

メガバンクとネット銀行を利用する中で手数料がどれくらい違うのか比較をしてみました。

私は三菱UFJ銀行とGMOあおぞらネット銀行、ゆうちょ銀行で口座を持っていますが、ゆうちょ銀行はほぼ使っていませんので2行の比較をしてみます。

銀行名月額基本料自行3万円未満自行3万円以上他行3万円未満他行3万円以上
GMOあおぞらネット銀行無料無料無料145円145円
三菱UFJ銀行1,760円110円330円550円770円

メガバンクはインターネットバンキングの利用料として月額費用がかかることに加えて意外と思う方も多いかもしれませんが、ATMで振込をするよりもネットバンキングを利用した方が高くなる場合もあるので注意しておきましょう。

三菱UFJ銀行はATMで同一支店に振込を行う場合は無料ですが、ネットバンキングでは110円かかります。

三菱UFJ銀行とGMOあおぞらネット銀行の手数料比較

例:1年間に50回の他行あて振込(3万円以上)を行った場合

・三菱UFJ銀行

月額利用料:1,760円×12ヶ月=21,120円
振込手数料:770円×50回=38,500円
年間にかかるコストは59,620円

・GMOあおぞらネット銀行

月額利用料:0円
振込手数料:145円×50回=7,250円
年間にかかるコストは7,250円

年間の金額にして52,370円、約85%の手数料削減効果が見込めます。

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ちなみに私の会社で利用している様子をGMOあおぞらネット銀行さんの導入事例として追加いただきました。

弊社が利用しているGMOあおぞらネット銀行さんの導入事例に追加いただきました。
弊社が利用しているGMOあおぞらネット銀行さんの導入事例に追加いただきました。

GMOあおぞらネット銀行さんの導入事例に追加いただきました。

2021年3月21日

デザインやユーザビリティが良い

普通銀行のネットバンキングは対面取引の補助程度に考えたおいた方が良いと上記でご紹介いたしましたが、デザインやユーザビリティに大きい違いがあることからもわかります。

例えばMacを利用する場合にはメガバンクは基本Windows向けに開発していることが多いため、利便性が低いことが多く使いにくいこともあるため注意しておきましょう。

私は三菱UFJ銀行のBizSTATIONとマネーフォワードクラウド会計を連携させているのですが、セキュリティの観点から3ヶ月に1回API連携の更新をしないと下記のように情報の取得が出来なくなります。

マネーフォワード クラウド会計との連携

このAPI連携の更新がMacからでは出来ないため、Windowsから行う必要があるなど少し手間になります。

GMOあおぞらネット銀行の場合にはMacからでも連携が出来ますし、ユーザビリティも高く不便は感じておりません。

口座の開設が早い

銀行の法人口座を開設するまでにかかる時間は大きく分けると銀行の種類によって異なっています。開設までの時間が短い順に並べてみました。

銀行の種類開設までの時間
ネット銀行1〜2週間程度
ゆうちょ銀行2週間程度
地銀・信用金庫2〜4週間程度
メガバンク1ヵ月程度

普通銀行では2〜4週間程度かかるのに対してネット銀行は1〜2週間程度と倍近く早く口座開設も可能です。

特にメガバンクは審査にも時間が長くかかりがちで1ヶ月程度は見ておいた方が良いと思います。

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2020年7月4日

24時間いつでもどこでも取引できる

インターネットを利用する取引なので、システムメンテナンス時間以外ならパソコンとネット環境があれば時間や場所を選ばず利用できます。

外出先でもスマートフォンを使って取引できるのは、忙しいビジネスパーソンにとっては大きなメリットと言えるでしょう。

過去の履歴が簡単に確認できる

ネット銀行はそもそも預金通帳がありませんので、過去の履歴の確認はネット上で閲覧することとなります。

一方普通銀行では預金通帳を見ながら過去の分を遡るか、ネットバンキングで履歴を確認します。

ただし、メガバンクのネットバンキングでは制約も多く、例えば三菱UFJ銀行のネットバンキングでは過去1ヶ月分の取引までしか遡って確認ができません。

決算の時に数値が一部合わなかったことがあり、税理士さんと過去の履歴を遡ってチェックをしようと思いましたが、通帳でしか確認ができないのは個人的に不便だなとも感じました。

もしくは毎月の取引履歴をダウンロードしておく必要があります。

普通銀行より金利が高い

普通銀行と比べて、ネット銀行の金利は高めになります。

ただし、現在の低金利時代においてはほとんど無視しても問題ない程度のレベルと言えるでしょう。

ネット銀行の振込手数料一覧

ネット銀行の振込手数料一覧

ネット銀行の特徴として手数料が安いことが挙げられますが、ネット銀行の中でも違いがありますので比較一覧表を作ってみました。

基本利用料はどこも無料ですが、同じ銀行で他の口座に振り込みをする場合と、違う銀行に振り込みをする場合で手数料に違いがあります。

銀行名GMOあおぞらネット銀行PayPay銀行住信SBIネット銀行楽天銀行
月額基本料無料無料無料無料
同行内振込手数料 無料 55円 52円 50円
他行振込手数料 3万円以下:145円
3万円以上:145円
3万円以下:176円
3万円以上:275円
3万円以下:168円
3万円以上:262円
3万円以下:160円
3万円以上:250円
利用可能時間24時間365日24時間365日24時間365日24時間365日
店舗
開設の日数審査1〜2週間審査1〜2週間審査1〜2週間審査1〜2週間

メガバンクでは倍以上かかる場合もありますので、ネット銀行の方がお得になります。

ネット銀行のデメリットとは

ネット銀行のデメリットとは

ネット銀行を利用する上で気をつけておいた方が良いこと、デメリットについても見ていきましょう。

借入にはあまり向いていない

入出金の取引がメインであればネット銀行の利便性と手数料の安さは魅力的ですが、銀行から借入を行う場合にはネット銀行はあまりお勧めできません。

そもそも借入を行っていないネット銀行も多いため、銀行から借入を考えている場合にはメガバンクや地銀などで行った方が良いです。

大手企業との取引ではやや信用度が落ちる場合がある

ネット銀行を利用している企業は増えていますが、比較的古い体質の業界や大手企業の中には利用していない場合も多くあります。

自社から振り込む場合にはどこの銀行から振り込みがあったのかは通常わかりませんが、相手からの振込先として指定する場合にはどこの銀行を利用しているのか伝える必要性があります。

中にはネット銀行しか無いと取引でやや信用度が落ちる場合もあるかもしれません。

ただ、私の場合は元々三菱UFJ銀行を入出金のメイン口座にしていましたが、入出金の管理と振り込み手数料のコストを考えてネット銀行をメインにしています。

ログインIDやパスワードを忘れると取引できない場合も

ネット銀行を利用するにはログインIDやパスワードを入力する必要があります。

忘れてしまうとログインできず取引できない場合もあります。

パスワードを複数回間違えて入力すると一時的に口座が利用できなくなることもあります。

これはネット銀行だけではなくネットバンキングでも同じことが言えますが、必ずログインIDとパスワードを控えておくようにしましょう。

私はEvernoteなどクラウドツールに入れて管理するようにしています。

PCからだけではなくスマホからも同一情報が管理・閲覧できるのでおすすめです。

不正アクセスや入出金の可能性

インターネットでの取引ではネット銀行のIDやパスワードを盗まれたりする恐れもあります。

定期的なログイン情報の変更やワンタイムパスワードの利用、OSのアップデートやセキュリティソフト利用などの対策が必要です。

全国銀行協会によると仮に不正送金の被害にあった場合にはネット銀行側に過失がない場合でも、預金者に過失がなければ全額が補償されるようですので安心できます。

引落口座や税金の支払いに利用できない場合も

多くのネット銀行は税金の還付口座として指定できないです。

また、一部のネット銀行口座では公共料金の引落口座に指定できない場合もあります。

ただ対応策として支払い方法をクレジットカードにしておき、クレジットカードの引落口座をネット銀行口座にすることで利用も可能です。

ネット銀行はメインバンクとして利用可能?

ネット銀行をメインバンクとして利用できるのかどうか気になる方も多いと思います。

比較的小規模の会社で入出金がメインの取引であればネット銀行をメインバンクとして利用するのは手数料から見ても賢い選択肢と言えるでしょう。

特にスタートアップやベンチャー企業であればなかなかメガバンクの口座開設で審査が通らない場合もありますので、まずはネット銀行で申込をしてみても良いと思います。

銀行から借入を考えている場合には、借入ができる普通銀行をメインバンクとして考えても良いかもしれません。

法人の銀行口座開設完全ガイド

法人の銀行口座開設ガイド

銀行の法人口座開設は年々審査が厳しくなっているのが実情です。

そのため、法人口座を開設するためには銀行口座開設の目的と事前準備をしっかりと確認しておき、戦略的に行うことがおすすめです。

実際に私が法人口座を開設した経験を踏まえて参考になりそうな記事をまとめてみましたので、ご関心ありましたら参照いただければと思います。

法人口座はネット銀行と普通銀行の両方を持っておくのがおすすめ

ネット銀行のメリットとデメリットを見てきましたが、個人的には法人口座はネット銀行と普通銀行の両方を持っておくのがおすすめです。

例えばメガバンクとネット銀行のように複数の種類の銀行に申し込みを行った方が口座開設のリスク分散も出来ますし、将来的に借入を考えているのであれば普通銀行もある程度の入出金の実績を作っておいた方が有利に進められると思います。

ネット銀行以外の対面のやり取りがある銀行では会社設立間際の場合、少しでも多く法人名の入った書類を用意して担当者に提出することで開設の確率が高まりますので、ぜひ挑戦してみましょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

証券会社、IT企業役員、ベンチャー企業などを経て2016年10月より独立。2017年7月株式会社Milkyways設立、代表取締役CEO。早稲田大学大学院商学研究科ビジネス専攻(WBS)修士課程卒。専攻はベンチャー企業論、ベンチャー経営論。趣味はダンスとラーメン。