ベンチャーキャピタルの中でも「アクセラレーター」や「インキュベーター」にあたる会社やプログラムが日本でも増えております。
比較的最近出来た独立系の アクセラレーター や インキュベーター の場合、その会社自身がベンチャー企業と言えるケースもあるでしょう。
今回は日本で活動をしているアクセラレーターとインキュベーターの違いと代表的な事例をご紹介いたします。
目次
アクセラレータとインキュベーターの特徴と違いとは
アクセラレーターとインキュベーターは似た意味合いで使われていることも多く、起業直後の会社に対してハンズオン型の支援を行っているという意味では同じ特徴があります。
その中でもそれぞれに違いと特徴がありますので見ていきましょう。
アクセラレーターの特徴について
アクセラレーターは3ヶ月間など期間が決まっているプログラムを設け、最初に ビジネスプラン のプレゼン選考などを通過した スタートアップ に対して投資を行い、経営ノウハウを指導することでビジネスを拡大することが特徴として挙げられます。
そのためアクセラレータープログラムとして第○期開催といったような形で見たことがある方もいるのではないでしょうか。
期限の最後に投資家の前での最終プレゼンを行い、新たな出資を得ることでアクセラレータープログラムを卒業していきます。
言わばスタートアップ養成スクールとも言えるかもしれません。
ビジネスモデルの再構築、 マーケティング方法の指導、プレゼンの仕方など様々な支援を行うことがある反面、期間が決まっているためにかなりハードな内容になることも多いようです。
海外で有名なアクセラレーターには Y Combinator や Techstars 、 AngelPad などが挙げられます。
これらのアクセラレータープログラムの選考通過確率は1〜2%程度と言われており、通過するのも一つの実績となりますね。
そこから出てきた企業は多数ありますが、例えば Dropbox や Airbnb ( エアービーアンドビー )などが代表的です。
インキュベーター の特徴について
インキュベーター はもともとの単語の意味は卵を孵化させる機械のこと(ポケモンGOの孵化装置のようなもの)で、若い段階にあるスタートアップ企業や起業まもない会社を対象にしており、資金の援助のみならず作業スペースの提供や事務・経理といった経営指導など多岐に渡ってサポートをします。
特に期間は設けておらずより良いサービスが生まれる為に環境を整えることを重視しています。
VCは、成長が見込めるスタートアップを探し出し資金援助を行いますが、インキュベーター は良いスタートアップを自分たちで育て、若い彼らが失敗しないように成功への手助けをします。
それによって沢山の収益を得られる低いシードスタートアップの成功率を上げようという狙いがあります。
産まれて間もないイノベーションを重視している為、政府機関や大企業などが積極的に出資や支援を行っているケースもあります。
アクセラレーター と インキュベーター 共通の特徴
- 起業直後の会社に対してハンズオン型の支援を行っている
- 通常のVCよりも1社あたりの出資金額は少なめで同時に複数社に投資することが多い
- 既に成長しているベンチャー企業を探して投資するのではなく育てて成長させることがミッション
- 同期やOBOGとの繋がりもあり、ビジネスネットワークやノウハウを学べることも多い
アクセラレーター と インキュベーター の 違い
- アクセラレーター は期限付きのプログラムで卒業型、インキュベーター は期限などがない
- インキュベーター はインキュベーションオフィスなど働く場所の提供も兼ねている場合がある
どちらも スタートアップ が失敗しないように積極的にスタートアップをサポートすることで成功の確率を上げ、EXIT確率の低いシードスタートアップの成功率を上げようという取り組みをしています。
日本のアクセラレーター とインキュベーター 紹介
日本でもアクセラレーターとインキュベーター が増加していることに伴い、特色のある会社も出てきております。
それぞれの会社の特徴についてもご紹介させていただきます。
グローバルで活動を行っている場合でも日本企業に投資を行っているところも掲載をしております。
なお、ご紹介する順番に関しては順不同となっております。
独立系
独立系のアクセラレーター、インキュベーターは有名な企業も多くプログラムも人気な場合が多いです。
各社特徴があり、自社にあった企業を選ぶことが重要です。
Incubatefund

Incubatefund ( インキュベイトファンド )は1999年のインキュベイトキャピタルパートナーズ設立以来、総額275億円の資金を運用し、関連ファンドを通じて200社以上のベンチャー企業への投資活動を行っています。
過去5年間においてはIncubatefundとして総額170億円の資金を運用し、関連ファンドを通じた投資社数が150社を超えるなど、シード・アーリーステージの投資/育成において国内最大規模の実績を持ち、知名度とともに日本を代表するベンチャーキャピタルです。
最近ではgumi、みんなのウェディング、Sansanなどの企業輩出のサポートを手がげていることが挙げられます。
特徴としては、IT関連企業を中心にBtoC、BtoB問わず幅広い企業に投資を行っております。
また、シードアクセラレーションプログラム「Incubate Camp」を2010年から運営をしており、自身でもVCにも出資していたりと幅広い活動を行っている注目の企業と言えるでしょう。
URL:Incubatefund(インキュベイトファンド)
投資先:Incubatefund(インキュベイトファンド)投資先
Mistletoe

Mistletoe ( ミスルトウ )はもともと シードアクセラレーター のMOVIDA JAPANなどで活躍していた孫泰蔵さんが2013年に設立した会社です。
ミッションとしては、「私たちが未来に直面する世界の大きな課題を解決するため、その課題解決に寄与するスタートアップを育てること」となっており、アクセラレーターなどの起業家支援プログラムではないようです。
コアとなるアイデアや技術を持ったファウンダーたちと「共同創業」という形を取り、出資内容や支援内容も各案件によって条件は異なります。
参考:THE BRIDGH
特徴としては、国内外のIOT関連企業を中心に投資を行っているように見受けられます。
また、スタートアップ関連のイベントも行っていたり、自身でもVCにも出資していたりと幅広い活動を行っている注目の企業と言えるでしょう。
URL:Mistletoe ( ミスルトウ )
投資先:Mistletoe ( ミスルトウ )投資先
500 Startups

500 Startups はPaypalやFounders Fundに務めたデイヴ・マクルーアさんにより2010年に設立された会社です。
60ヶ国1,600社以上のスタートアップへ投資する世界で最もアクティブなシードアクセラレーターの1つで、日本にもオフィスがあり積極的にイベントなどを行っております。
また、500 Startupsはアクセラレータープログラムだけでなく、アーリーステージに特化したベンチャーキャピタルでもあります。
投資先としては日本企業でDVERSE、Tokyo Otaku Modeなどがあります。
URL:500 Startups
サンブリッジグローバルベンチャーズ

サンブリッジグローバルベンチャーズ は2012年にベンチャー支援事業をサンブリッジより事業分割により独立させて設立された会社です。
特徴としては、IT関連企業を中心にBtoC、BtoB問わず幅広い企業に投資を行っております。
また、Innovation Weekendというイベントを運営しており、New York、San Francisco、Berlinの各都市で開催されたInnovation Weekendの優勝・準優勝チームが、東京へ集結してピッチを行うグローバルな内容で毎年注目を集めているようです。
SKYLAND VENTURES

SKYLAND VENTURES ( スカイランドベンチャーズ )は、U25のシード・アーリースタートアップへの投資を行なうベンチャーキャピタル(VC)です。
日本国内を中心に40社超に投資を行っており、2012年設立以降2つのVCファンドより総額14億円の投資活動を行っています。
ベンチャーキャピタル(VC)投資、コワーキングスペース#HiveShibuyaの提供、ブログメディア STARTUP STUDIOの発信などにより、設立前~シード・アーリーステージのインキュベーション・スタートアップコミュニティーの構築を行っている。
特徴としては、EC、メディア、ゲーム、SaasなどのIT領域全般の投資を行っており、直近の投資領域はVR、チャットボット、ドローン、フィンテックなどがあります。
URL:SKYLAND VENTURES ( スカイランドベンチャーズ )
サムライインキュベート

サムライインキュベート は2010年設立で、数百万円単位の小口出資を複数の企業に投資をするスタイルの会社です。
創業者榊原さんのイベント時にスピーカーで熱い呼びかけをすることでも知られる独自性のある会社としても有名でしょう。
イベントは日本の47都道府県全てで行ったようで、自身もスタートアップ企業であるようなスピードと実行力のある会社と言えるでしょうね。
EXITの例としては良くノボットの事例を引き合いに出しております。
インキュベーションオフィスとして天王洲アイルにあるサムライスタートアップアイランド(SSI)というスタートアップ向けのシェアオフィスを運営しており、寺田倉庫がサムライインキュベートの事業方針に共感を得て、支援をしていることでも有名ですね。
最近では活動をイスラエルでも本格的に行っており、投資先にイスラエル企業が多く名を連ねています。
URL:サムライインキュベート
投資先:サムライインキュベート 投資先
アーキタイプ

アーキタイプ は2006年に設立された会社でBtoB、BtoC問わずIT企業の支援を幅広く行っております。
支援先にはTABI LABO、Wantedlyなどがあります。
特徴としては投資、支援、コンサルティングと幅広い事業を行っているところが挙げられるでしょう。
URL:アーキタイプ
投資先:アーキタイプ 投資先
insprout

insprout(インスプラウト)はインキュベーション事業の他に、自社でのインターネットサービス事業、システム開発事業も行っている会社です。
投資先にはgumi、Cerevo、ハイパーインターネッツなどのIT企業があります。
特徴としては自分たちでもインターネットサービスやシステム開発を展開していることから、ノウハウや技術的な支援も期待ができそうなところが挙げられるでしょう。
partyfactory

partyfactory はインターネットビジネスの創業支援、投資、インキュベーション、スタートアップイベントの企画運営、バックオフィス業務支援、経営アドバイザリー、M&Aコンサルティングなどを行っている会社です。
投資先にはCAMPFIRE、U-NOTEなどがあります。
URL:partyfactory
投資先:partyfactory 投資先
J-Seed Ventures

J-Seed Ventures ( ジェイ・シード )は2000年の創設以来、様々な会社の立ち上げに携わってきました。
経営陣としてスタッフが全般的に立ち上げに参加した様々な会社の他にも、いくつかの会社を長い時間をかけて活発に支援してきた会社もあります。
特徴としては経営陣がアカデミックな方々も多く、起業家育成施設「Venture Generation」というインキュベーションオフィスも手掛けているところが挙げられるでしょう。
URL:J-Seed Ventures ( ジェイ・シード )
投資先:J-Seed Ventures ( ジェイ・シード )投資先
事業会社系
DGインキュベーション(Open Network Lab)

DGインキュベーション が運営しているOpen Network Labは「世界に通用するプロダクトを作り上げるスタートアップの育成」を目的に、2010年4月に設立されました。
スポンサーとして名を連ねている デジタルガレージ ( DG ) も様々な企業の投資支援で有名な会社ですので、そのノウハウや知見を活用していると言えるでしょう。
これまでに「 Seed Accelerator Program 」を通じて、数十社もの スタートアップ の育成・支援を行っており、世界進出を視野に入れたグローバルに活動するスタートアップを「シードアクセラレーター」、「イベント」、「コミュニティ」を通じて支援していくとのことです。
支援先では Fril、日本人初の Y Combinator 卒業生である AnyPerk などがあります。
URL:Open Network Lab
投資先:Open Network Lab 投資先
アクセラレーター プログラム
docomo Innovation Village

docomo Innovation Village は NTT ドコモ・ベンチャーズ がベンチャー企業や開発者を様々な側面から支援する取り組みです。
約4か月半のプログラムを行い、専門家による メンタリング機会 の提供に加えて、転換社債 (CB) 引受による資金提供や、 共同オフィススペース をはじめとした開発環境の支援を行います。
さらに、NTTドコモとの協業や NTTドコモが運営するファンド からの出資も検討。
採択企業では TIMERS、 ウィルモアなどがあります。
KDDI∞Labo

KDDI∞Labo ( KDDIムゲンLabo )は開発支援やプロモーション、事業化支援などを通じて世界を変えるインターネットサービスを生み出そうとしているスタートアップを応援しています。
6ヶ月間の アクセラレータープログラム を通じて、アクセラレーター企業、サポート企業、アドバイザーなどからも様々な支援をしてもらえるようです。
過去のプログラム採択企業では ソーシャルランチ 、 giftee などがあります。
URL:KDDI∞Labo ( KDDIムゲンLabo )
採択チーム:KDDI∞Labo ( KDDIムゲンLabo )採択チーム
資金調達、増資の検討時には税理士を見直す必要も
資金調達、増資を検討する際には事業を拡大するフェーズに入っている場合が多いですが、その際に税理士を見直した方が良い場合もあるかもしれません。
例えば知り合いから紹介された税理士さんに昔からお願いしているものの、会社の規模が大きくなってきて得意範囲を超えてしまう場合、仕訳や決算については詳しくてもファイナンスの相談は出来ないといったことも見受けられます。
その場合には知り合いからの紹介や監査法人への相談も効果的ですが、たくさんの税理士が登録してある税理士ドットコムに登録して無料相談してみるのもおすすめです。
自社に合いそうな税理士の方を比較検討出来るメリットがあります。

気になったら行動してみよう!
アクセラレーターとインキュベーター の違いや各企業の違いについてご紹介させていただきました。
投資だけではなく、オフィスの問題や手続きの問題、ネットワーキングなど起業直後に必要な様々なことでも力を貸してくれるでしょう。
インキュベーションオフィス などに行ってみると、 コワーキングスペース などよりも比較的若くて熱量が多い人たちが集まっていますので、「自分ももっと頑張らないと!」という気持ちにさせてくれることもメリットの一つかもしれませんね。
ベンチャーキャピタル の会社と比べると比較的新しい会社が多いということもありますが、webサイトが充実している会社も多く見受けられます。
今後起業を考えている方 や 起業直後 の方でアクセラレーターやインキュベーター に興味がある方は、上記のような企業を参考にしてみてはいかがでしょうか。
アクセラレーターやインキュベーターの方々は前向きで行動力のある人に対して向かい入れてくれる方も多いので、ぜひ接点をもつなど行動をしてみても良いでしょう。
こちらのブログや会社のお問い合わせフォームなどからアクセラレーターやインキュベーターもしくは他のVCの話を聞いてみたいといったご連絡やご相談をいただくことも増えてきましたので、もしご興味あればお声掛けいただけましたら出来る範囲内でご対応させていただきます。
ただ、会社の事業やフェーズなどによって必ずご紹介出来るかどうかの保証はできないのと、お互いのデューデリジェンスの金額が合わなくてマッチしないケースも多いですので、予めご了承いただけますと幸いです。
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